墓じまい後の遺骨はどうする?6つの行き先と「どこで手を合わせるか」

電車で遠方のお墓へ向かう親子
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お盆やお彼岸に、久しぶりにお墓へ足を運ぶ方も多いと思います。

一方で最近は、

  • 実家のお墓が遠すぎる
  • 自分のあとに誰が管理するのだろう
  • 子どもに墓守を残したくない

そんな理由から、墓じまいを考える人も増えています。

厚生労働省の衛生行政報告例(e-Stat)によると、2024年度の全国の改葬数は176,105件でした。2026年8月のFNNプライムオンラインの報道でも、改葬数はこの10年ほどで約2倍になったと取り上げられています。

ただし、ここでいう「改葬数」は、そのまま「墓じまい件数」ではありません。法律上の改葬は、埋葬した遺体や納めた焼骨を、別の墓地や納骨堂へ移すことです。墓じまいを伴うケースだけでなく、お墓の引っ越しなども含まれます。

ニュースを見ていて、私は一つ気になりました。

墓じまいした後、私たちはどこで手を合わせるのでしょうか。

墓石を撤去することは、墓じまいの一部分にすぎません。

その後の遺骨をどこへ納めるのか。これから家族は、どこで故人を思い出すのか。そして次の世代には何を残すのか。

墓じまいを考えるなら、むしろこちらの方が大切だと思います。

この記事では、一級葬祭ディレクターとしての視点に加え、私自身が関東にある実家のお墓を将来どうするか考えている立場から、墓じまい後の6つの選択肢と、決める順番を整理します。

この記事でわかること

  • 墓じまいした後、遺骨をどうすればよいか
  • 新しいお墓・永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養の違い
  • 「どこで手を合わせたいか」から考える方法
  • 遠いお墓を残す意味と、墓じまいするメリット
  • 子どもや次の世代まで考えた判断軸
  • 墓じまいを決めた後の流れと改葬許可

3行まとめ

  • 墓じまいは、墓石をなくす前に「遺骨の行き先」と「手を合わせる場所」を決めることが大切です。
  • 遠いお墓には負担がある一方、「そこへ会いに行く」という役割もあります。
  • 今の便利さだけでなく、次の世代の暮らし方まで考えると、自分たちに合う供養を選びやすくなります。
遠いお墓を残す意味と墓じまい後の供養方法を考える文字入り4コマ

墓じまいは「お墓をなくすこと」で終わらない

墓じまいという言葉からは、墓石を撤去し、墓地を更地にして、管理者へ返還する作業を思い浮かべるかもしれません。

しかし、お墓の中には遺骨があります。墓石をなくしても、遺骨や故人との関係までなくなるわけではありません。

だから私は、「墓じまいするかどうか」より先に、「墓じまいした後、どう供養したいか」を考えた方がよいと思っています。

墓じまい後には、たとえば次のような選択肢があります。

  • 今住んでいる地域などへお墓を移す
  • 永代供養墓へ移す
  • 納骨堂へ納める
  • 樹木葬にする
  • 海洋散骨する
  • 一部を手元供養として残す

どれが一番優れているという話ではありません。家族構成、住んでいる場所、遺骨を残したい気持ち、供養への考え方によって、向いている方法は変わります。

墓じまいに限らず、お墓を持たない供養全体から整理したい方は、先にお墓はいらない?お墓を持たない選択肢を比較を読むと、用語の違いがつかみやすくなります。

葬儀の現場でも、納骨先はすぐ決まるとは限らない

一級葬祭ディレクターとしてご家族と接してきた中で感じるのは、葬儀が終わったからといって、遺骨の行き先まで自然に決まるわけではないということです。

お墓はあるけれど遠い。納骨堂も気になる。親は先祖代々のお墓を残したいが、子どもは別の地域で暮らしている。そうした事情が重なると、「一番安い方法」だけでは決められません。

さらに墓じまいは、葬儀社だけで完結する話ではありません。

  • 現在のお墓の管理者や菩提寺
  • 墓石の撤去を担う石材店
  • 改葬許可を扱う自治体
  • 新しい墓地・納骨堂・霊園
  • 一緒に供養してきた親族

関係する相手が多いからこそ、最初に見積もりや契約へ進むより、「遺骨をどこへ移すか」「どこで手を合わせるか」「誰と話すか」を分けて考えた方が、話がこじれにくくなります。

遠いお墓は「不便だから悪い」とも限らない

墓じまいの理由として分かりやすいのが、「お墓が遠い」という問題です。

  • 移動に時間がかかる
  • 交通費もかかる
  • 高齢になるほど墓参りが難しくなる
  • 掃除や管理のためだけに何度も通えない

これは確かに負担です。

ですが、私自身は遠いことには悪い面しかないとも思っていません。

遠方にお墓があるからこそ、「今年もお墓参りに行こう」と、その土地へ行く目的になることがあります。

  • お墓参りをきっかけに故郷へ帰る
  • 親族と会う
  • 昔住んでいた場所を歩く
  • 家族で故人の話をする

近所にあれば、いつでも行ける安心感があります。一方、遠くにあるからこそ、わざわざ時間を作って「会いに行く」という行為になることもあります。

これは、費用や移動時間だけでは測れないお墓の役割です。

だから、「遠いから墓じまいした方がよい」と簡単には言えません。便利になる代わりに何を失うのか。そこまで考えてから決めても遅くありません。

実家のお墓を残しながら、身近にも手を合わせる場所を持ちたい場合は、お墓が遠いときの分骨と手元供養も中間案になります。一時的に墓参りへ行けないだけなら、お墓参りに行けないときの供養方法も参考にしてください。

私自身も、実家のお墓をどうするかは他人事ではない

私の実家のお墓は関東にあります。一方、私は現在、関西で暮らしています。

これからも関西で暮らすなら、将来、実家のお墓を墓じまいして関西へ移せば、私自身は墓参りしやすくなります。これはかなり合理的です。

しかし、そこで一つ疑問が出ます。

では、子どもは将来どこに住むのでしょうか。

関西に住み続けるかもしれません。東京へ行くかもしれません。仕事や結婚などで、まったく別の地域へ移る可能性もあります。

そう考えると、「自分が関西に住んでいるから、関西へお墓を移そう」だけでは、問題を一世代先送りする可能性があります。

もちろん、それでも家のお墓を残したいという考え方はあります。逆に、「自分の代で、墓守を必要としない形へ変えたい」という選択もあります。

さらに言えば、今ある関東のお墓を残して、そこへ墓参りに行く時間そのものを大切にする選択もあります。

私自身、まだ答えは決まっていません。だからこそ、お墓について考えるときは、今の自分にとって便利かどうかだけでなく、次の世代に何を残したいのかまで見た方がよいと思っています。

墓じまい後は「どこで手を合わせたいか」から考える

選択肢が多くて迷うなら、いきなり費用比較をする前に、「これから、どこで手を合わせたい?」と考えてみてください。

ここから考えると、自分が大切にしたいものが見えやすくなります。

これまでと同じように墓前で手を合わせたい

お墓という場所そのものを大切にしたいなら、今住んでいる地域などへ改葬する方法があります。

自分たちの墓参りは楽になりますが、新しく作ったお墓にも、いずれ管理や承継の問題が出る可能性があります。「自分が通いやすいか」だけではなく、「自分のあと誰が守るのか」まで考えておきたい方法です。

新しい墓所で墓石を建てる場合は、先に墓地の指定石材店の有無を確認してください。自由に石材店を選べる墓地なら、墓石の見積もりを比べる7つの確認点も役立ちます。

手を合わせる場所は残したい。でも墓守は残したくない

こういう方なら、永代供養墓や承継負担の少ない納骨堂などを候補に入れると考えやすくなります。

寺院や霊園などが管理や供養を行う仕組みであれば、子どもが墓石を維持し続ける負担を小さくできます。家族が訪れたいときには、手を合わせる場所も残ります。

ただし、次の点は施設によって違います。

  • 何年間、個別に安置されるのか
  • 最終的に合祀されるのか
  • 合祀後に遺骨を取り出せるのか
  • 年間管理費や追加費用はあるのか
  • 家族はどこで、いつお参りできるのか

「永代供養」という言葉だけで決めず、契約内容まで確認しましょう。詳しくは永代供養の選び方と合祀前の確認点で整理しています。

墓石はいらない。でも訪れる場所は欲しい

この考え方なら、樹木葬も候補になります。

樹木や草花などを墓標とする埋葬形式で、承継者を必要としないプランもあります。ただし、樹木葬にすれば土地から自由になるわけではありません。

基本的には特定の霊園や寺院などへ納骨するため、「手を合わせに行く場所」は残ります。これは欠点とは限りません。「墓石は残したくない。でも、家族が会いに行ける場所は欲しい」という人には、むしろ大きなメリットです。

特定の土地に縛られたくない

将来、自分や子どもがどこに住むかわからない。そう考えると、海洋散骨という方法もあります。

お墓そのものを次世代へ残さないため、特定の土地との結びつきは小さくなります。一方で、墓前という分かりやすい供養の場所はなくなります。

海を見て思い出す。自宅の写真に手を合わせる。命日に家族で故人の話をする。そんな「場所に頼らない供養」を受け入れられるかがポイントになります。

全部を散骨することに迷いがあるなら、一部を手元に残す方法もあります。一度散骨した遺骨は元に戻せないため、先に海洋散骨の流れ・費用・後悔しやすい点を確認しておくと安心です。

日常の中で故人を身近に感じたい

小さな骨壺やアクセサリーなどに遺骨の一部を残し、自宅で手を合わせる手元供養もあります。

遠くのお墓へ行かなくても、日常の中で故人を偲べる方法です。ただし、手元供養にも「その後」があります。

自分が亡くなったあと、その遺骨を誰が引き継ぐのか。最終的には納骨するのか、散骨するのか。そこまで決めておけば、子どもが「この遺骨をどうすればいいのだろう」と困りにくくなります。

身近に残す方法や保管上の注意は、手元供養の選び方で詳しく解説しています。

墓じまい後の遺骨の行き先を比較

選択肢手を合わせる場所管理負担次世代への承継こんな考え方なら候補
新しいお墓へ改葬あるある残りやすいこれまでと同じように墓前で手を合わせたい
永代供養墓ある比較的小さい小さくしやすい墓守は残したくないが、お参りの場所は欲しい
納骨堂ある比較的小さい契約による交通や天候を含め、訪れやすさを重視したい
樹木葬ある比較的小さいものが多い小さくしやすい墓石はいらないが、会いに行く場所は欲しい
海洋散骨墓前は残らない小さい小さい特定の土地に縛られたくない
手元供養自宅など保管が必要最終的な行き先を考える必要がある日常の中で身近に偲びたい
※永代供養墓・納骨堂・樹木葬などは、施設や契約によって管理方法、合祀時期、費用、承継条件が異なります。

5問で整理|墓じまい後の供養方法チェック

答えを決める診断ではなく、家族で話す入口を作るためのチェックです。今の気持ちに近い方を選んでください。

墓じまい後の供養方法チェック

5つの質問で候補を整理

質問 1 / 5

「まだ墓じまいしない」も、立派な選択肢

遠い。管理が大変。子どもに迷惑をかけたくない。そう感じたからといって、すぐに墓じまいする必要はありません。

  • 家族の意見がまとまっていない
  • 遺骨をどこへ移すか決まっていない
  • 今後どこに住むかもわからない
  • 今のお墓に愛着がある

そういう状態なら、いったん残すのも選択肢です。

一時的に墓参りへ行けないだけなら、親族にお願いしたり、お墓参り代行を利用したりする方法もあります。遠いお墓を残し、一部だけ分骨する考え方もあります。

墓じまいは、一度進めると簡単には元へ戻せません。「今は決めない」という判断もあります。

墓じまいを決めたら、墓石より先に遺骨の行き先を決める

実際に墓じまいを進めるなら、先に考えておきたいのが遺骨の行き先です。

  1. 家族・親族で話し合う
  2. 現在のお墓の管理者や菩提寺へ相談する
  3. 遺骨の新しい行き先を決める
  4. 現在遺骨がある自治体へ必要な手続きを確認する
  5. 墓石撤去の範囲と費用を確認する
  6. 遺骨を取り出し、墓地を更地にして返還する
  7. 新しい方法で納骨・供養する

現在のお墓から別のお墓や納骨堂へ遺骨を移す「改葬」には、市町村長の許可が必要です。墓地、埋葬等に関する法律では、改葬の許可は、遺骨が現在ある場所の市町村長が行うと定められています。

申請書、受入証明書、墓地管理者の証明など、必要書類や名称は自治体によって異なります。散骨や手元供養を考えている場合も、いきなり墓石を撤去せず、現在のお墓の管理者と自治体へ、遺骨を取り出す際の扱いを事前に確認してください。

特に菩提寺のお墓では、墓地返還だけでなく、今後の法要や親族との関係もあります。費用の話から入るより、まず「墓じまいを考えている理由」と「まだ決定ではないこと」を伝える方が、相談しやすいと思います。

墓じまい後の遺骨でよくある質問

墓じまい後の遺骨を、自宅に置いてもよいですか?

自宅で遺骨を保管する手元供養はできます。ただし、自分が管理できなくなった後の行き先も決めておくと、家族が困りにくくなります。将来どこかへ納骨する可能性があるなら、関係書類も大切に保管してください。

墓じまいした遺骨は、全部同じ場所へ移さないといけませんか?

一部を分骨して手元供養し、残りを永代供養や散骨にするなど、組み合わせる考え方もあります。ただし、将来の納骨に必要となる証明書や、墓地管理者の手続きは先に確認してください。

永代供養にすれば、もう何も管理しなくてよいですか?

「永代供養」という名称だけでは判断できません。個別安置の期間、合祀の時期、年間管理費、法要、お参りの方法は施設ごとに異なります。誰が何を、いつまで担うのかを契約書で確認しましょう。

墓じまいは、最初に誰へ相談すればよいですか?

まずは家族・親族で、遺骨の行き先と今のお墓をどう感じているかを話します。その後、現在のお墓の管理者や菩提寺へ相談し、自治体の改葬手続きと新しい受入先を確認する流れが現実的です。墓石撤去の契約だけを先に進めないようにしてください。

墓じまいで決めるのは、墓石ではなく「これからの供養」

お墓を残す。近くへ移す。永代供養にする。樹木葬にする。散骨する。

どの方法を選んでも、故人を大切に思う気持ちまで変わるわけではありません。

墓じまいを考えると、「お墓を残すか、なくすか」という二択になりがちです。

でも、本当に考えたいのは、これから家族が、どこで、どんなふうに故人を思い出したいのか。ではないでしょうか。

私自身、関東にある実家のお墓を将来どうするのか、まだ答えは出ていません。

関西へ移せば、自分は通いやすくなる。でも、子どもが将来どこに住むかはわかりません。一方で、関東にお墓があるからこそ、その場所へ行く理由が残るとも思っています。

だから私は、遠いからなくす。近いから残す。そんな単純な話ではないと思っています。

便利になるもの。失うもの。自分の気持ち。次の世代の負担。それぞれを一度並べてみる。そのうえで、自分たちの家族に合う形を選べばよいのだと思います。

墓じまいに、一つの正解はありません。まずは家族に、「これから、どこで手を合わせたい?」と聞いてみる。墓じまいを考える最初の一歩は、そこからでもよいと思います。

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参考資料

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