親や家族が亡くなった直後は、悲しみの中で手続きまで一気に押し寄せます。
何から始めればいいのか、今日やることはどこまでなのか、頭が回らなくなるのは普通です。
でも、最初から全部を把握する必要はありません。
大事なのは、今日やることとあとでいいことを分けることです。
この記事では、親や家族が亡くなったあとに必要な手続きを、順番・期限・窓口で整理しました。
「まず何から?」「7日以内に何をする?」「相続や税金はいつまで?」がひと目でわかるようにまとめています。
葬儀社で現場対応をしてきた立場から、急がなくていいことや先にコピーを取っておくと助かるものも含めて、実務目線でやさしく解説します。

この記事でわかること
- 親や家族が亡くなったあとに必要な手続きを、順番で整理できる
- 7日・14日・3か月・4か月・10か月・3年の目安をつかめる
- 役所・銀行・年金・税金・相続登記の流れがわかる
- 世帯主変更など、必要な手続きと不要な手続きを切り分けられる
- 印刷して使えるチェックリストとして活用できる
3行まとめ
- 親が亡くなった直後は、死亡届・火葬・葬儀の段取りから考えれば大丈夫です。
- そのあとに、役所・保険・年金・銀行・相続・税金の順で整理すると混乱しにくくなります。
- すべてを今日やる必要はありません。期限のあるものから順番に進めれば大丈夫です。
まずやる3つ|今日やるのは全部じゃなくていい
親や家族が亡くなった直後に、最初から相続や税金まで考える必要はありません。
まずは次の3つです。
死亡届と火葬許可の流れを確認する
病院で死亡診断書を受け取ったら、まずは死亡届と火葬許可の流れを確認します。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出するのが原則です。実際には葬儀社が流れを案内してくれることも多いので、慌てて全部を抱え込まなくて大丈夫です。まずは、今日必要なことを一つずつ確認していけば十分です。
搬送先と安置先を決める
自宅へ戻るのか、会館へ安置するのかを決めます。
この時点では、細かい相続の話よりも、まず落ち着いて故人をどこで休んでもらうかが優先です。
葬儀の大枠を家族で決める
一般葬、家族葬、一日葬、直葬など、葬儀の形はいろいろあります。
迷う方は、先に喪主がやること全部リストを見ておくと、今どこまで考えればいいのかが整理しやすくなります。
死亡後の手続きタイムライン|順番をざっくり把握
ここでは、親や家族が亡くなったあとの手続きを、期限ごとにざっくり整理します。
細かい制度の違いは後で確認すれば大丈夫です。まずは全体像をつかんでください。
当日〜7日以内
- 死亡診断書を受け取る
- 死亡届を提出する
- 火葬許可証の流れを確認する
- 葬儀・火葬の日程を決める
- 健康保険証、介護保険証、後期高齢者医療証などの返却準備をする
14日以内の目安
- 世帯主変更が必要か確認する
- 国民健康保険や後期高齢者医療の手続きを確認する
- 役所で必要な手続きの一覧を確認する
早めに確認したいこと
- 年金の未支給年金や遺族年金の対象確認
- 銀行口座や公共料金、携帯、クレジットカードなどの整理
- 葬祭費や埋葬料の対象確認
- 遺言書やエンディングノートの有無の確認
3か月以内
- 相続放棄や限定承認を検討する
4か月以内
- 準確定申告が必要か確認する
10か月以内
- 相続税の申告・納付が必要か確認する
3年以内
- 不動産がある場合は相続登記を進める
役所で行う手続き|まずはここから
死亡後の手続きで、最初に動くことが多いのが役所関係です。
ただし、役所に行く前に「何を持っていくか」をざっくりでも整理しておくと二度手間が減ります。
主な手続き
- 死亡届
- 火葬許可証の確認
- 健康保険証の返却
- 介護保険証の返却
- 後期高齢者医療証の返却
- 世帯主変更
- 葬祭費の確認
よく使うもの
- 死亡診断書
- 届出人の本人確認書類
- 印鑑
- 故人の保険証類
- 通帳や年金関係の書類
- マイナンバーがわかるもの
- 戸籍や住民票が必要になるケースもある
先にコピーを取っておくと助かるもの
実務上、あとから何度も見返すことがあるので、次のものはコピーか写真を残しておくと楽です。
- 死亡診断書
- 保険証
- 年金証書
- 通帳の表紙と名義面
- 不動産関係の書類
- 公共料金やクレジットカードの明細
世帯主変更は全員必要ではありません
ここは意外と誤解されやすいところです。
親が亡くなったからといって、必ず世帯主変更が必要になるわけではありません。
世帯主変更が必要な場合は、変更があった日から14日以内が基本です。
ただし、旧世帯主の死亡などで世帯に残る人が1人だけになる場合は届出不要です。迷ったときは、役所で他の手続きをする日に一緒に確認しておくと安心です。
もらえるお金を忘れない|葬祭費・埋葬料・未支給年金
手続きに追われていると見落としやすいのが、請求できるお金です。
ここは後回しにしすぎると抜けやすいので、早めに窓口だけ確認しておくのがおすすめです。
葬祭費
国民健康保険や後期高齢者医療に加入していた場合、葬祭を行った人に支給される制度があります。
たとえば大阪市の国民健康保険では、葬祭を行った方に5万円が支給されます。金額や申請先は自治体や加入制度で違うので、まずは故人がどの保険に入っていたかを確認しましょう。
埋葬料・埋葬費
勤務先の健康保険に加入していた場合は、加入先の健康保険から埋葬料や埋葬費の対象になることがあります。
協会けんぽでは、被保険者が亡くなったときの埋葬料は5万円です。こちらも制度ごとに条件や窓口が違います。
未支給年金
年金を受け取っていた方が亡くなった場合、亡くなった月分までの年金について、遺族が未支給年金として請求できることがあります。
また、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、年金受給権者死亡届が原則省略できる場合があります。だからこそ、年金は「すぐ止める」だけでなく、未支給年金や遺族年金まで含めて確認するのが実務的です。
ここは制度名が似ていてわかりにくいですが、
「故人がどの保険に入っていたか」から確認する
と、かなり整理しやすくなります。
銀行の手続き|状況を確認してから進めれば大丈夫
「銀行口座はすぐ止まるの?」「すぐ解約しないとだめ?」と不安になる方は多いです。
ただ、ここは慌てて一気に進めるより、引き落としや入金の状況を確認してから動いた方が安心です。
まず確認したいこと
- どの銀行に口座があるか
- 公共料金や携帯代の引き落としがどこからされているか
- 年金の振込先がどこか
- クレジットカードの引き落とし口座がどこか
進め方のコツ
銀行に連絡すると、金融機関ごとの手続き案内があります。
口座をどう扱うかは、家族の状況や引き落としの整理状況によっても変わります。
まずは全体像を確認してから進めれば大丈夫です。
急いで解約しなくていいものもある
スマホ、固定電話、インターネット回線、電気・ガス・水道、クレジットカードなどは、最終的には整理が必要です。
ただ、家族が確認や連絡に使う間は、少し残しておいた方が助かることもあります。
要するに、
“見つけたら即解約”ではなく、“使い道を確認してから整理”
で考えると失敗しにくいです。
ここは焦りやすいところですが、焦るほどミスもしやすいです。
一つ確認して、一つ片づける。その積み重ねで大丈夫です。
税金の手続き|4か月と10か月を意識
税金の手続きは、今すぐ全部理解する必要はありません。
ただし、4か月と10か月は覚えておくと整理しやすいです。
4か月以内:準確定申告
故人に確定申告が必要だった場合は、相続人が代わって申告する準確定申告が必要になることがあります。
10か月以内:相続税
相続税がかかる場合は、申告と納付が必要になります。
全員に関係するわけではありませんが、不動産や預貯金、保険金などを含めて全体像を見ていく必要があります。
この段階でやっておきたいこと
- 通帳を確認する
- 保険証券を確認する
- 不動産の有無を確認する
- 借入やローンの有無を確認する
- 必要なら税理士や専門家への相談を検討する
相続放棄を考えるなら3か月を意識
借金や債務の有無が気になる場合は、相続放棄の検討が必要になることがあります。
「財産があるかも」だけで判断せず、マイナスの財産がないかも見ることが大切です。
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをするのが原則です。借入や未払い金がありそうな場合は、後回しにしすぎない方が安心です。
不動産がある場合は相続登記も確認しましょう
親名義の家や土地がある場合は、不動産の名義変更も必要になります。
住んでいる家がそのままだと急ぎではないように感じやすいですが、今は相続登記が法律上の義務になっています。
相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記をする必要があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になることがあります。すぐ売る予定がなくても、「あとで考えよう」で重くなりやすいので、早い段階で不動産があるかどうかだけでも把握しておくと、あとがかなり楽になります。
遺言書が見つかったときの注意
遺品整理の途中で、遺言書らしきものが見つかることがあります。
このときは、すぐに家族だけで判断しない方が安全です。
遺言書には種類があり、扱いが違います。
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、家庭裁判所での検認が必要な場合があります。
一方で、公正証書遺言や、法務局で保管されている自筆証書遺言は検認が不要です。まずは、開封や判断を急ぐより、遺言書の種類を確認することを優先しましょう。
故人の考えや希望を確認するという意味では、遺言書だけでなく、エンディングノートの保管場所と家族共有や、遺言書とエンディングノートの違いも、家族にとって助けになることがあります。
エンディングノートやメモが残っていたら確認する
法的な効力は別として、家族にとって助かるのが、故人のメモやエンディングノートです。
- どこの銀行を使っていたか
- 保険に入っていたか
- お寺や菩提寺との付き合いがあるか
- 誰に連絡してほしいか
- どんな葬儀を望んでいたか
こうした情報が少しでも残っているだけで、遺族の負担はかなり変わります。
まだ元気なうちの備えとして考えるなら、エンディングノートの書き方や、死後事務委任ってなに?親が元気なうちに知っておきたいことも、あわせて読むと整理しやすいです。
印刷用チェックリスト|親が亡くなったあとに確認したいこと
必要に応じて、このまま印刷して使ってください。
当日〜7日以内
- □ 死亡診断書を受け取った
- □ 死亡届の流れを確認した
- □ 火葬許可証の確認をした
- □ 安置先を決めた
- □ 葬儀や火葬の日程を決めた
- □ 親族や関係者への連絡を進めた
14日以内の目安
- □ 健康保険証や介護保険証などを確認した
- □ 世帯主変更が必要か確認した
- □ 役所で必要な手続きの一覧を確認した
早めに確認
- □ 銀行口座を把握した
- □ 公共料金や携帯の引き落としを確認した
- □ 葬祭費や埋葬料の対象を確認した
- □ 年金の未支給年金や遺族年金を確認した
- □ 遺言書やエンディングノートの有無を確認した
- □ 保険証券や通帳を探した
- □ 借入やローンの有無を確認した
3か月以内
- □ 相続放棄の検討が必要か確認した
4か月以内
- □ 準確定申告が必要か確認した
10か月以内
- □ 相続税の申告が必要か確認した
3年以内
- □ 不動産がある場合は相続登記を確認した
よくある質問
Q. 親が亡くなったら、まず何をすればいいですか?
まずは、死亡診断書の受け取り、死亡届の流れ、火葬や葬儀の段取り確認です。
相続や税金はそのあとで大丈夫です。
Q. 死亡後の手続きは全部すぐやらないといけませんか?
いいえ。期限のあるものから順番に進めれば大丈夫です。
当日〜7日以内に動くもの、3か月以内に考えるもの、10か月以内に確認するものがあります。
Q. 世帯主変更は必ず必要ですか?
必ずではありません。
残る世帯員が1人だけになる場合など、不要なケースもあります。必要な場合は14日以内が目安なので、役所で確認しておくと安心です。
Q. 年金はすぐ止める手続きが必要ですか?
年金は「すぐ止める」だけで考えるより、未支給年金や遺族年金の対象確認まで含めて見る方が大切です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、死亡届が原則不要な場合もあります。
Q. 銀行口座はすぐ解約した方がいいですか?
すぐに全部解約した方がいいとは限りません。
公共料金や携帯料金などの引き落とし状況を確認してから整理した方が安心です。
Q. 葬儀後に何をすればいいか全体を知りたいです
死亡後の手続きは、役所・保険・年金・銀行・相続・税金の順で整理すると進めやすいです。
まずはこの記事のチェックリストで全体像をつかんでください。
まとめ|今日は1つ進めれば十分です
親や家族が亡くなったあとに必要な手続きは、たしかに多いです。
でも、最初から全部を一気にこなす必要はありません。
まずは、
- 今日やること
- 今週中にやること
- あとでいいこと
に分けて考えるだけで、かなり整理しやすくなります。
死亡後の手続きで大切なのは、完璧に覚えることではなく、順番を間違えずに進めることです。
このページをチェックリスト代わりに使いながら、ひとつずつ進めていけば大丈夫です。
手続きの話はどうしても冷たくなりやすいですが、
本当はその一つひとつが、故人をきちんと送り、残された家族が少しずつ日常へ戻っていくための動きでもあります。
全部を強くこなさなくて大丈夫です。
今日は一つ進めば十分。
それだけでも、ちゃんと前に進んでいます。


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