費用が不安なときの葬儀の選び方|市営葬儀で“ホッ”とするお別れを

突然ですが、大切な人との別れの時、費用のことで不安になったことはありませんか?

私たちにとっても、実は“葬儀のお金”は他人事ではありません。

私自身、葬祭の現場で「費用が不安で…」というご相談をたくさん受けてきました。だからこそ今日は、「ホッ」とできる制度をお伝えします。

この記事では、「市営葬儀」と「福祉葬儀(経済的支援制度)」の違いについても、わかりやすく解説していきます。

この記事でわかること

  • 申請すれば受け取れる公的給付(葬祭費・埋葬料・労災の葬祭料・死亡一時金)
  • 生活保護の葬祭扶助の考え方と注意点(審査・対象範囲)
  • 支出をぶらさない費用設計の型と、現実的な低コスト運用
  • 申請の締切・窓口・必要書類の基本

3行まとめ

  • まず健康保険の種別で「葬祭費 or 埋葬料」を判断、2年以内に申請
  • 業務・通勤災害は労災の葬祭料、該当者は死亡一時金も要確認。
  • 困窮が強いときは葬祭扶助を検討(葬儀前に申請)。形式は直葬+後日お別れ会など柔軟に。

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市営葬儀(市規格葬儀)の基本を知ろう

市営葬儀とは、自治体が住民向けに設けた「適正価格の葬儀プラン」のこと。一般的な葬儀を、費用を抑えて行うことができる制度です。

自治体が複数の葬儀社と提携し、価格や内容をある程度統一した「規格葬儀」として提供されています。

お住まいの自治体のホームページ、市役所の市民課・福祉課、または提携葬儀社で案内されていることが多いです。

例えば…

  • 現在、私が勤務する大阪・北東地域では、基本費用が火葬プランで6,5万円、標準プランで15万円ほどです。(火葬の費用は別)

メリット

  • 一般葬も可能で、内容の幅が広い
  • 金額が明確で安心できる
  • 品質の一定水準が保証されている

デメリット

  • カスタマイズの自由度は限定的
  • 提携外の葬儀社は利用できない
  • 自治体が用意していない場所もある

福祉葬儀(経済的支援制度)の基本を知ろう

経済的に困難な状況にある方を対象に、自治体が葬儀費用の全額または一部を負担する支援制度があります。これは「最低限の火葬のみ」を基本としたシンプルな形式で、いわゆる一般的な式は行われません。

主に生活保護受給者を対象とした制度で、福祉事務所を通じて申請・認可されます。

★最重要ポイント★

→ 葬儀前に必ず福祉事務所へ相談・申請を!

※事後申請では費用が支給されない可能性が高いです。

申請の流れ(自治体によります)

  1. 福祉事務所に相談
  2. 書類の提出と審査
  3. 認可後に葬儀実施(火葬)
  4. 自治体が費用を支給

Q&A:よくある疑問

  • 支援の対象になるの? → 生活状況や扶養状況によって判断されます。
  • 親族がいると対象外? → 原則対象になるが、扶養確認が必要です。

亡くなった方が生活保護でも、お葬式の支払い者(施主)が生活保護でない場合は、許可が降りないケースが多いです。

ポイント

  • 火葬のみ(直葬)に限定されることがほとんどです。
  • 一般葬儀は対象外です。
  • 申請には時間がかかるため早めの相談が必要です。

👉 直葬と家族葬の違いとは?現役スタッフがやさしく解説
火葬のみの形式「直葬」と、家族葬の違いを丁寧に解説。費用や流れ、向いているケースがわかります。

あなたに合った選択肢は?〜後悔しないための選び方〜

どの制度を選ぶかは、経済状況や価値観によって変わります。以下の比較表を参考にしてみてください。

項目市営葬儀(市規格葬儀)福祉葬儀(経済的支援制度)一般葬・家族葬・直葬
対象者住民全般(故人が市民、死亡届の申請者が市民など限定的)生活保護受給者など誰でも
葬儀の形式一般葬・一日葬など選択可能火葬のみ(式なし)自由に選択可能
費用比較的割安自治体が全額or一部負担自己負担(内容により変動)
自由度中程度ほぼなし高い
手続き先提携葬儀社・自治体福祉事務所葬儀社

市営葬儀については自治体によって違う部分が多く、一概に言えません。市営葬儀が設けられていない自治体もあるので要チェックです。

エンディングノートで備える

「お金がかかりすぎないように」「制度を活用してもいいよ」など、自分の思いをメモしておくだけで、残された人の安心につながります。

👉 エンディングノートに書いておきたい10のこと(テンプレあり)
「お金」「希望するお葬式」など、実際に書いておきたい内容を具体的に紹介。テンプレ付きで安心。

公的給付・制度

※以下は代表的な制度です。金額・条件は加入保険/自治体で異なるため、必ず最新情報を確認してください。

国民健康保険「葬祭費」

  • 故人が国民健康保険(または後期高齢者医療)加入者の場合、喪主に葬祭費が支給されます(例:東京都文京区7万円)。申請期限は「葬祭の翌日から2年」が一般的。

協会けんぽ・健保組合「埋葬料(費)」

  • 会社員等の健康保険(社会保険)加入者なら、埋葬料(家族埋葬料)5万円が目安(協会けんぽ)。自治体の葬祭費とは重複不可

労災(業務・通勤災害)「葬祭料(葬祭給付)」

  • 業務上・通勤災害で亡くなった場合は、315,000円+給付基礎日額30日分(または給付基礎日額60日分の高い方)を支給。

国民年金「死亡一時金」(該当者のみ)

  • 第1号被保険者で保険料36月以上納付等の条件に該当すると、12万〜32万円の死亡一時金(受給資格の有無で異なる)。遺族年金とは選択

生活保護の「葬祭扶助」

  • 最低限の葬送に必要な範囲(火葬・搬送・棺等)を公費で援助。**原則「葬儀前に福祉事務所へ相談・申請」**が必要で、事後申請は原則不可。内容や運用は自治体の判断に従います。

かんたん比較表

制度対象と窓口目安額・例締切・注意点
国民健康保険 葬祭費故人が国保加入/市区町村例:文京区7万円・他地域は5万円前後申請は葬祭の翌日から2年以内。社会保険の埋葬料と重複不可
協会けんぽ等 埋葬料(費)会社員等の健康保険/健保5万円(協会けんぽ)申請2年以内。国保の葬祭費と重複不可
労災 葬祭料業務・通勤災害/労基署315,000円+給付基礎日額30日分
※または給付基礎日額60日分
災害の認定手続が必要
国民年金 死亡一時金第1号被保険者等/年金事務所12万〜32万円(要件次第)遺族年金と選択(併給不可)
生活保護 葬祭扶助受給者等/福祉事務所最低限の葬送費を実費支援原則、葬儀前に申請・決定。事後は原則不可

申請チェックリスト

  • まず確認:故人の健康保険の種別(国保 or 社会保険)。
  • 窓口
    • 国保:故人の最終住所地の市区町村(国保課等)。
    • 社保:協会けんぽ/健保組合
    • 労災:労基署
    • 年金:年金事務所
    • 生活保護:福祉事務所葬儀前に)。
  • 必要書類の例(自治体で異なる):葬儀領収書(喪主名・故人名記載)、健康保険証(資格確認書)、喪主の本人確認書類・口座情報、会葬礼状等。
  • 締切:多くが2年以内(国保の葬祭費・社保の埋葬料等)。忘れずに。

コストをぶらさない実務(現場の工夫)

  • 形式の選び方:参列がごく少数なら直葬+後日お別れ会/案内制で家族葬
  • 会場:公営斎場(市民料金)の活用で固定費を圧縮。
  • 案内文:香典・供花の方針(受ける/辞退)を明記して混乱を防ぐ。
  • 小物はミニマム:数珠・袱紗・黒小物を整えれば十分「きちんと」になります。

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制度は重複受給に制限があるため、「国保の葬祭費」か「社保の埋葬料」かを最初に見極めるのが近道。

よくある落とし穴

  • 生活保護の葬祭扶助を“事後”で相談 → 原則対象外。必ず葬儀前に福祉事務所へ。
  • 自治体差を見落とす → 金額や必要書類、郵送可否、時効の扱いは市区町村で違う
  • 負担が“固定費”に偏る → 公営斎場の有無、安置日数、火葬場の混雑で費用が増えやすい。日程調整で抑える。

👉福祉葬儀ってどんな制度?生活保護世帯の“最後の支え”を現場から解説

今から知っておこう!あなたの「ホッとする終活」のために

終活って、決して「暗い話」ではありません。

むしろ、大切な人を想いながら考える「やさしい準備」だと私は思っています。

今日できる一歩:

  • 自治体のホームページをチェックしてみる
  • 家族と軽く話題に出してみる
  • ノートに一言だけ「備えメモ」を書いてみる

それだけでも、十分な前進です。

私は、現場で「お金のことで悩んでいる」と話すご家族に何度も出会ってきました。

でも、制度を知っていれば、不安を減らせることもある。

このブログが、あなたやご家族の「ホッ」とできる一歩につながれば嬉しいです。

👉 終活の始め方:まず何をすればいい?やさしく解説
終活の全体像がつかめる入門記事。「何から始めればいいの?」という方に最適です。

  • この内容について「もっと知りたいこと」「他にも気になること」があれば、ぜひコメント欄から教えてください。

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