「直葬(ちょくそう)」という言葉を聞いたことはありますか?
通夜や告別式を行わず、火葬のみで見送る葬儀のかたち――。最近では、少人数でシンプルに故人を見送るスタイルとして「直葬」を選ぶご家族も増えています。
この記事では、一般葬や家族葬との違いをふまえながら、「直葬とは何か」「どんな人に選ばれているのか」「実際の流れや費用」まで、やさしく解説します。
もしもの時に備えて、心の準備や知識として知っておくことで、いざという時に“ホッと安心できる”はずです。
この記事でわかること
- 直葬の定義と火葬式(炉前読経あり)との違い
- 直葬の基本の流れ(逝去〜安置〜火葬)と必要書類
- 費用の考え方(固定費と追加になりやすい項目)
- トラブルを避ける事前周知の文例と、納骨・供養の選択肢
3行まとめ
- 直葬は火葬のみ・最小限の負担で見送る方法。
- 24時間規定・火葬場の空きをふまえた日程設計が鍵。
- 後日の納骨・お別れ会まで含めて、家族で合意を先に作っておくと後悔が少ない。
喪服レンタル(Cariru)|黒ネクタイ|黒ストッキング|数珠|袱紗|香典袋セット
直葬とは? – 通夜・告別式を行わず火葬のみで送る形式
直葬とは、通夜や告別式といった儀式を省略し、火葬のみで故人を見送る葬儀形式のことです。ごく限られた家族や近しい方のみで行われることが多く、費用や手間を抑えられることから、選ぶ方が増えています。
私の体感としても、関西エリアでは「直葬」が一定の割合を占めており、とくに身寄りが少ない方や、本人の遺志で簡素な葬儀を希望されたケースで多く見受けられます。
最近では「火葬式」と呼ばれることもあり、プランとしては「寝台車+安置+火葬+手続き代行」がセットになっていることが多いです。
👉後悔しない葬儀選び|直葬と家族葬の違いを現役スタッフが解説します
一般葬・家族葬との違いを表で比較
| 葬儀形式 | 儀式の有無 | 参列者の範囲 | 費用感 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 一般葬 | 通夜・告別式あり | 家族・親族・友人・関係者 | 約100〜万円 | 一般的だった形式。参列者が多い |
| 家族葬 | 通夜・告別式あり | 家族・親族中心 | 約50〜万円 | 少人数でゆっくりと見送る |
| 直葬 | なし(火葬のみ) | 家族・ごく近しい人のみ | 約20〜万円 | 最小限の費用・儀式でのお見送り |
※費用感はあくまで参考です。私の勤務する会社では、直葬プランはおおよそ25万〜40万円、普通の葬儀はは50万〜250万円ほどです。
直葬を選ぶ理由と背景 – 増える「簡素な見送り」へのニーズ
なぜ直葬が増えているのか。その背景には、さまざまな事情があります。
- 経済的な負担を軽くしたい
- 高齢化や単身世帯の増加
- 宗教儀礼にこだわらず、静かに見送りたい
- 故人の遺志で「簡素に」という希望があった
- 遠方に家族がいて、参列が難しい
「費用の問題」「人間関係の希薄さ」「宗教離れ」など、時代の変化とともに、葬儀の形も変わってきています。
直葬は「冷たい」イメージを持たれることもありますが、私は、“心がこもっていれば、どんな形式でも立派な送り方になる”と思っています。
👉公営斎場と民間斎場の違い——料金・使い勝手・日程の組み方まで
直葬のメリットとデメリット
メリット
- 葬儀費用を抑えられる(一般葬と比べて大幅に安価)
- 準備や手配が少なく、心身の負担が軽い
- 人間関係の調整や参列者への気遣いが減る
- 宗教・宗派に縛られず自由にできる
デメリット
- お別れの時間が短く、後悔が残ることも
- 親族や周囲から誤解を受ける可能性がある
- 故人の社会的つながりを反映しづらい
- 価格相当のことしかできずやれることは少ない(自分で工夫することは可能)
火葬前にゆっくり声をかけたり、お花や好きだった音楽を流したりすることで、心のこもったお別れにできます。
直葬の流れ – 当日までのステップ
- ご逝去 → ご安置
- 葬儀社へ連絡 → プラン相談
- 火葬場の手配・死亡届の提出などの手続き
- 火葬当日:
- お別れの儀(花入れ、メッセージなど)
- 出棺 → 火葬
- 骨上げ
私が現場で立ち会ったケースでは、火葬場でのお別れ時間に、皆さんが故人の棺の中にお花を入れたり、好きだったCDをそっと添えたりする場面が印象的でした。形式がシンプルだからこそ、“気持ちのこもった送り方”ができるのかもしれません。
👉無宗教だけど、ちゃんと送りたい──希望がなくても提案できる「静かな葬送」のかたち
直葬のあとの“供養の選択肢”
- 納骨:共同墓/永代供養墓/樹木葬/納骨堂。
- 自宅安置から後日納骨:四十九日や一周忌の節目で。
- お別れ会・偲ぶ会:式場や飲食店で簡素に。無宗教の献花式も相性◎。
注意点 – 直葬を選ぶ前に確認しておきたいこと
- 火葬のみを認めていない宗派・菩提寺もある
- 周囲の親族との意思確認が大切
- 死亡届などの手続きは、代行してもらえるか要確認
- 火葬場の空き状況によっては数日待つこともある(一般葬も同様。安置費用の増加に注意)
特に地方では「式をしないのは非常識」と受け止められることもあるため、事前に家族で話し合い、気持ちをすり合わせておくことが大切です。
終活として考えておきたい「直葬という選択」
直葬は、人生の最期を“静かに、シンプルに”過ごしたいという願いを叶える選択肢のひとつです。
20代の方にはまだ遠い話に思えるかもしれませんが、
- 親が高齢になってきたとき
- 家族で終活の話をするとき
- 自分自身の未来を考えるとき
こうした時に、直葬のことを知っているだけで、心の準備ができるようになります。
エンディングノートに「通夜や告別式は希望しない」「最小限の形式で」と書いておくことで、残された家族も迷わずにすみます。
よくある質問(抜粋)
Q. 直葬でもお経をお願いできますか?
A. 可能です。その場合は火葬式として炉前で短い読経をお願いする形もありです。
Q. 直葬に親族・友人をどこまで呼べますか?
A. 「近親者のみ」が基本。事情により面会時間を区切るなど、現地の導線をシンプルにすると負担が減ります。
Q. 香典や供花はどう扱えば?
A. どちらも受ける/辞退するを事前に統一。辞退は案内文・礼状に明記し、受付で周知します。
Q. 骨壺は後からサイズ変更できますか?
A. 難しいことが多いです。分骨の有無や納骨先の仕様に合わせて最初に決定しておくのが安心です。
喪服レンタル(Cariru)|黒ネクタイ|黒ストッキング|数珠|袱紗|香典袋セット
まとめ|「送り方」よりも「想いの込め方」
葬儀の形には、正解も不正解もありません。
どんな形式でも、「ありがとう」「お疲れさま」の気持ちをこめて見送ることが、何より大切だと思います。
直葬は、形式を簡素にすることで、かえって“想い”が際立つこともある――そんな可能性を持つ見送り方です。
この記事が、あなたやご家族のこれからに、少しでも安心と気づきをもたらすヒントになれば幸いです。
どうぞご自身を大切に。生きてるだけで、丸儲けです。


コメント