「できるだけ負担を減らしたい」「でも、きちんと見送りたい」
そう思ったときに目にするのが、「福祉葬」「市営葬」「直葬」といった言葉。
だけど……
「それぞれどう違うの?」
「うちの場合、どれが使えるの?」
と戸惑う方も多くいらっしゃいます。
この記事では、現役の葬祭スタッフである私が、日々のご相談経験をもとに
それぞれの制度や形式の違いを、できるだけわかりやすく解説していきます。
「安く済ませる=寂しいお葬式」ではありません。
あなたに合った“後悔のないお別れの形”を、一緒に見つけていきましょう。
この記事でわかること
- 福祉葬(葬祭扶助)・市営葬(公営の規格葬)・直葬(火葬式)の定義と違い
- 適用条件/申請・手続き/費用負担の考え方
- 向いているケース・注意点・よくある誤解
- 悩んだときの実務的な選び方(最短ルート)
まず結論(どれを選ぶ?)
- 生活保護の受給中/見込みで、費用が用意できない → まず福祉葬(葬祭扶助)を“葬儀前に”福祉事務所へ相談。
- 市民料金で安く整えたい/通夜〜告別式の最低限は実施したい → 住民要件を満たせば**市営葬(規格葬)**が現実的。
- 最小構成で現実的に → 直葬(火葬式)。後日お別れ会を前提にする選択もあり。
👉福祉葬儀ってどんな制度?生活保護世帯の“最後の支え”を現場から解説
👉直葬とは?通夜・告別式なしのシンプルなお別れ|家族葬との違いや費用・流れもやさしく解説
ざっくり比較!3つの制度・形式のちがい
福祉葬(生活保護世帯)
- 対象者: 生活保護を受けている方
- 費用負担: 対象範囲は公費負担
- 手続き: 福祉課に申請(事前許可が必要)
- 内容: 火葬のみ、式・祭壇なし
- 注意点: 提携業者のみ/自由な選択不可/必ず事前申請を
市営葬(自治体提供の葬儀)
- 対象者: 市民または一定条件を満たす方
- 費用負担: 数万円〜十数万円(自治体による)
- 手続き: 市に申込(指定業者経由が多い)
- 内容: 火葬式 or 簡略化された儀式
- 注意点: 市によって内容・料金が異なる/事前調査が必要
直葬(火葬式)
- 対象者: どなたでも利用可能
- 費用負担: 約15万〜30万円前後
- 手続き: 葬儀社へ直接依頼
- 内容: 通夜・告別式なし/火葬のみ
- 注意点: お別れの時間が短い/親族説明が必要なことも
比較早見表(福祉葬/市営葬/直葬)
| 項目 | 福祉葬(葬祭扶助) | 市営葬(規格葬) | 直葬(火葬式) |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 生活保護受給者等(要審査) | 自治体の住民(要件あり) | 誰でも可(条件なし) |
| 申請・窓口 | 福祉事務所へ事前申請 | 自治体・指定業者へ申込 | 葬儀社へ直接手配 |
| 費用負担 | 必要最小限を自治体扶助(上限・範囲に注意) | 規格料金(市民料金/式場費別など) | 最小(選択により増減) |
| 宗教儀礼 | 原則対象外(自費扱いが多い) | 最小セット内で可(規格に従う) | 原則なし(実施は別設計) |
| 日程調整 | 審査・決定後に確定 | 式場と火葬場の空き次第 | 火葬場の空きが最優先 |
| 向くケース | 費用準備が困難/保護利用中 | 市民要件を満たし最小限の式を実施 | 最小構成・短時間で見送りたい |
| 注意点 | 事後申請ほぼ不可・自治体差 | 住民要件・規格外は加算や不可 | 後悔回避に「後日会」を検討 |
福祉葬とは?生活保護を受けている方向けの制度
福祉葬(または民生葬)は、生活保護を受けている方や、その扶養義務者が支払い困難な場合に、
自治体が葬儀費用を公費で負担してくれる制度です。
申請は故人の住民登録がある市町村の「福祉課」が窓口。
事前に相談・許可を得る必要があり、葬儀後の申請は原則できません。
葬儀の内容は火葬式(通夜・告別式なし)となり、会館や祭壇の用意は基本的にありません。
また、指定された提携業者でのみ対応可能な場合もあるため、選択肢が限られる点にも注意が必要です。
⚠️ 地域により要件や流れが異なるため、必ず早めに福祉課に相談を。
市営葬とは?自治体が提供する比較的安価なお葬式
市営葬(市営規格葬儀、市民葬儀)は、市民やその家族のために、自治体が一定の価格と形式で提供する葬儀です。
ただし、内容は市区町村によってバラバラ。
祭壇あり・なし、会館の利用可否、費用など、大きく差があります。
多くの場合、指定された葬儀業者を通じての依頼が必要で、申し込みは市の窓口やホームページから行います。
🔍「〇〇市 市営葬儀」で検索し、公式情報をチェックするのがおすすめです。
一見安く見えても、オプションや火葬場利用費などが別に必要な場合もあるため、見積もりをしっかり取りましょう。
内容によっては葬儀社のプランの方が安いケースもあります。
直葬(火葬式)とは?宗教儀式を行わないシンプルなお別れ
直葬とは、通夜・告別式を行わず、火葬だけを行う形式です。
高齢者の単身世帯や、宗教的儀式にこだわらない方などに選ばれることが増えています。
費用が抑えられる点や、準備の簡便さがメリットですが……
- お別れの時間が短くなりがち
- 形式的なお見送りを重んじる親族には説明が必要なことも
といった注意点もあります。
心の整理をつけるために、簡単なお別れの時間を設けるケースも多く見られます。
お花を手向けてのお別れは行うケースが多いです。ただし、その為の生花はオプションである可能性があります。
現場での相談例:福祉葬を選ばれたご家族
あるご兄弟からのご相談でした。
「父が生活保護を受けていたのですが、どうしたらよいか分からなくて……」
お話を伺い、まず福祉課への事前相談が必要であること、
福祉葬では式場や祭壇がないことを丁寧にご説明しました。
最終的には、「最低限のことでも、気持ちを込めて見送れる形を」とご家族で話し合い、
火葬場でお別れの言葉をかける形でのお見送りとなりました。
「派手じゃなくても、ちゃんと送れたと思えました」
——そんな言葉をいただけたことが、今でも心に残っています。
実務フロー(最短ルート)
- 福祉葬:死亡(危篤)連絡→福祉事務所へ即連絡→葬儀社・役所で三者調整→審査・決定→実施(精算は役所⇄葬儀社が基本)。
- 市営葬:住民要件確認→規格プラン選定→式場・火葬場確保→実施(規格外は別途)。
- 直葬:火葬場先押さえ→安置計画→最小必要物品のみ→当日短時間でお別れ→希望に応じて後日のお別れの会オプション。
よくある誤解
- 福祉葬は後から申請できる? →× 原則事前。実施後は不可・却下の可能性が高い。
- 市営葬なら誰でも同料金? →× 市民要件・規格の範囲で変わる。
- 直葬は何もできない? →× 納棺・お別れの短時間は確保できる。後日会の併用で心理的後悔を減らせる。
まとめ:自分たちらしいお別れを選ぶために
福祉葬・市営葬・直葬、それぞれにメリット・注意点がありますが、
一番大切なのは「自分たちに合った方法で、納得して見送ること」です。
「わからないまま」「なんとなく」で選んでしまうと、
あとから後悔が残ることもあります。
まずは制度について知ること、
そして必要に応じて葬儀社や自治体に相談してみることが、後悔のない第一歩です。
私のブログでは、今後も「ホッとできる終活情報」を発信していきます。
不安なこと、わからないことがあれば、いつでも覗いてみてくださいね。
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