「お葬式をしない」という選択肢、どう考える?

価値観の多様化により、通夜・告別式を行わない見送り(直葬/火葬式/式なし火葬)を選ぶご家庭が増えています。葬儀自体は義務ではありませんが、死亡届→火葬許可→火葬は必須です。提出期限(原則7日以内)や24時間規定を押さえつつ、心の区切りをどう確保するかを一緒に考えましょう。

この記事でわかること

  • 「葬儀をしない」選択肢(直葬/火葬式/式なし火葬)の違いと注意点
  • 法律上の必須手続き(死亡届・火葬許可)と24時間規定の要点
  • よくある後悔と、その回避策(ミニお別れ/周知テンプレ/写真・手紙の残し方)
  • 周囲への説明のコツとトラブル予防(菩提寺・親族調整)

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3行まとめ

  • 葬儀(通夜・告別式)は法的義務ではない。ただし火葬・埋葬は許可制で、死亡後24時間は火葬できない。
  • 「費用が軽い=後悔が少ない」ではない。説明責任/心の区切りをどう設計するかが鍵。
  • 迷ったら小さなお別れを足す(炉前読経・写真投影・手紙)だけで満足度は上がる。

👉なぜ葬儀を行うのか|本当の意味と役割を現役スタッフが解説

「お葬式をしない」=どんな形になるの?

直葬(火葬式):通夜・儀式なしで火葬のみ。炉前で短い読経を付けるかは地域・事業者で差。呼称は直葬=火葬式として扱われることもあります。

式なし火葬(完全に儀式を省く):読経・会食・献花などを行わずに火葬だけ。

ミニセレモニー併用:火葬前後に自宅や控室で手紙朗読・音楽再生・写真投影など“10〜20分の区切り”を設計。

方式人数/時間できること向くケース注意点
直葬(炉前読経あり)数名・半日読経・焼香・拝顔菩提寺あり/宗教的区切りを重視菩提寺の了解と謝礼の取り決め
式なし火葬数名・数時間拝顔・献花費用/時間を最小化親族・友人への説明不足が後悔に直結
ミニセレモニー併用数名・+10〜20分手紙・音楽・写真心の区切りを最低限確保会場利用の可否は事前確認

現実的に可能なのは「直葬(火葬式)」

「お葬式をしない」といっても、火葬は法律で義務づけられています。

そのため、儀式や会葬者を伴わない「直葬(火葬式)」が、現実的に選べる最低限の選択肢です。

直葬とは、式や参列者を伴わず、ごく少人数で火葬のみを行うスタイル。費用は最も抑えられ、流れもシンプルです。

火葬すらしないとどうなる?

ごくまれに「何もしたくない」「火葬費も払えない」というケースもあります。

その場合、遺体は行政に引き渡され、「引き取り拒否」という形になります。

この場合、市町村が税金で火葬を行い、納骨先は合葬墓などになります。

ただし、これは「お葬式をしない」という選択ではなく、“遺体の所有権を放棄する”行為です。精神的にも社会的にも大きなハードルがあります。

土葬や海葬は選べる?

土葬は制度上「不可能ではない」が、実際には…

法律上、日本では土葬は禁止されていません。

ただし、対応している墓地が極めて少なく、許可も難しいのが現実です。

2022年の土葬割合は全国で約0.03%。

特定の宗教や慣習を持つ一部地域でのみ行われています。

海葬や風葬、水火葬はどう?

海葬(水葬)は一部で可能ですが、基本的に火葬を経た後の遺骨の散骨として行われます。

風葬や鳥葬、水火葬などは日本では制度的に許可されておらず、現実的な選択肢とは言えません。

「葬儀をしない」ことへの後悔

火葬だけで見送った方から、次のような声を聞くことがあります。

  • 「急ぎ足で終わってしまって、気持ちの整理ができなかった」
  • 「親戚にちゃんと説明しきれなかった」
  • 「形だけでもお経をあげてもらえばよかったかも…」

確かに「簡素に済ませたい」「金銭的に厳しい」といったご事情はあると思います。

ただ、「お葬式をしない」ことで、自分自身やご遺族の“心の区切り”が難しくなるケースもあるのです。

そもそも「お葬式」って、なに?

「葬儀」と「告別式」は、本来は別物です。

  • 葬儀=仏式の宗教儀礼(読経・焼香など)
  • 告別式=宗教色のない“お別れの場”

このふたつを合わせたものが、私たちが普段「お葬式」と呼んでいるものです。

したがって、「お葬式をしない」というのは、宗教儀礼もお別れの場も持たず、火葬だけを行う=直葬を意味します。

実際には火葬プランを選んでもお花を手向ける告別の時間を設けるケースが多いです。

直葬でも、できることはある

「式はしない。でも、なにかできることはないだろうか?」

そんなときは、たとえばこんな工夫ができます。

  • お棺の中に、手紙や思い出の品を入れる
  • 出棺前に、数分だけ家族だけで故人と向き合う時間をつくる
  • 火葬後に、自宅で小さな偲ぶ会を開く
  • エンディングノートで気持ちを共有しておく

形式を持たない見送りでも、心を込めて行うことで“心の区切り”が生まれます。

よくある後悔と回避策

  • 周知不足:「後で知った」と言われる → “式はしません”の周知テンプレ(下記)で事前連絡。
  • 心の区切り不足:何もしていない気持ちが残る → 10分のミニお別れ(手紙、写真、録音メッセージ、好きな曲)。
  • 菩提寺との齟齬:檀家関係がある → 事前相談で理解形成。炉前読経・納骨の段取りを共有。
  • 遺骨の扱い迷子:納骨・手元供養・納骨堂のどれにするか → 家族の合意を先に。

周知テンプレ(そのまま使えます)

親族各位
このたびは生前のご厚情に感謝します。生前の希望と家族の事情により、通夜・告別式は行わず火葬のみといたします。面会・弔問はご遠慮ください。お気持ちはどうかお手紙や思い出の写真でお寄せいただければ幸いです。香典・供花は辞退いたします。

正解はない。でも、考えておくことが大切

「葬儀をするべきか、しないべきか」に、正解はありません。

大切なのは、後悔しないために「自分たちの考え」を整理しておくことです。

もし迷っているなら、まずはエンディングノートに自分の希望を書いてみる。

そして家族や信頼できる人と、少しずつ話してみる。

それだけでも、ずいぶん安心感は変わってきます。

👉なぜ葬儀を行うのか|本当の意味と役割を現役スタッフが解説

FAQ

Q1. 葬儀をしなくても違法になりませんか?
A. 違法ではありません。葬儀は任意です。ただし死亡届の提出火葬(埋葬)の許可24時間規定は守る必要があります。

Q2. 直葬と火葬式は同じですか?
A. 事業者によって呼び方が異なり、ほぼ同義で使われます。炉前で短い読経を伴うかどうかの運用差があります。

Q3. 親族への伝え方は?
A. 「式は行わず火葬のみ」「弔問は遠慮」「香典・供花辞退」を先に明示。代替として手紙・写真の共有を案内すると角が立ちにくいです。

Q4. 24時間規定の例外はありますか?
A. あります(例:一部の感染症等)。実際の可否は自治体・火葬場の運用に従います。

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さいごに:あなたの「想いの形」を残すために

「ホッとする終活ブログ」では、そんな“葬儀をしない”という選択にも寄り添い、

あなたらしい見送りの形を考えるお手伝いをしています。

気になることがあれば、どんなことでもご相談ください。

関連リンク

後悔しない葬儀選び|直葬と家族葬の違いを現役スタッフが解説します

→ 「火葬のみの直葬については、こちらの記事でも詳しく解説しています。」

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この内容について「もっと知りたいこと」「他にも気になること」があれば、ぜひコメント欄から教えてください。

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