法要は何回忌まで?——三回忌・七回忌・十三回忌の区切りと“弔い上げ”の決め方

身内の法要は「どこで区切るのがよいか」が、いちばん迷うところです。三回忌・七回忌・十三回忌…と続く年忌法要には地域や宗派の違いがあり、「一般論」と「その家らしさ」の間に、ちょうどよい落としどころがあります。このページでは、現場の実務も交えて“無理のない決め方”をていねいに整理します。

この記事でわかること

  • 一般的な上限(弔い上げ)の考え方と、近年の「十七回忌で締める」現実解
  • 回忌の数え方と日程の決め方(前倒し・併修の可否)
  • 規模・招く範囲・会食の考え方(小さく整える工夫)
  • 宗派や地域による違い(浄土真宗・神式・沖縄の要点)
  • 五十回忌(遠忌)の見方

結論:一般的には「三十三回忌で弔い上げ」。ただし十七回忌で締める家も増えています

昔からの一般的な区切りは三十三回忌(弔い上げ)です。ここで個人としての法要を一区切りとし、位牌や過去帳の扱いを整えていきます。
一方で、共働きや遠方の親族が増えたこと、菩提寺や会場の事情などから、十七回忌(満16年)で区切る例も増えています。どちらが“正しい”ではなく、菩提寺の方針と家の事情(集まれるか/費用と体力)**で無理なく決めるのが、いまの実情です。

目安
・三回忌・七回忌・十三回忌:親族中心でしっかりと。
・十七回忌以降:規模はさらに小さく、十七回忌または三十三回忌で弔い上げを検討。
・弔い上げ後:墓前や仏壇でのお参り、寺院の合同供養や永代供養へ自然に移行。

(関連:[法事・供養の基礎まとめ])

「弔い上げ」とは——区切るからこそ、日々のお参りが続けやすくなる

弔い上げは、故人の供養を一区切りとして、以後は家全体のご先祖として手を合わせていく考え方です。規模の大きな法要を重ねるより、日々の小さな供養(仏壇・墓参)を丁寧に続けることに重心を移します。
弔い上げの時期は、三十三回忌が一般的。ただ、十七回忌での弔い上げもめずらしくありません。ご住職に相談の上、位牌のまとめ方(繰り上げ位牌など)や過去帳の記載について整えておくと安心です。

(関連:[案内状の文例])

回忌の数え方・時期の決め方(前倒しもOK)

回忌は「回忌数 − 1年」で数えます。たとえば2023年9月に逝去の場合、

  • 一周忌=満1年(2024年9月)
  • 三回忌=満2年(2025年)
    以後、七回忌=満6年、十三回忌=満12年、十七回忌=満16年…となります。

日程は、祥月命日(同月同日)前後の土日に合わせるのが実務的。先延ばしは避け、前倒しは原則OKです。親族の都合や会場の空きに合わせ、1〜2か月程度の前倒しは現場でもよく行われます。わからないときは菩提寺にひと声かけましょう。

ミニ早見
3回忌=満2年/7回忌=満6年/13回忌=満12年/17回忌=満16年/25回忌=満24年/33回忌=満32年

規模・招く範囲・会食——小さく、あたたかく

三回忌は、親族+故人と縁の深い方までお声がけすることが多いです。七回忌・十三回忌以降は親族中心へ。近年は会食を省略したり、法要のみで解散する形も増えています。高齢のご親族が多い場合や遠方が多い場合は、自宅や会館の小ホール、寺院本堂で短時間に整えるのもやさしい選択です。
服装は、回忌が進むにつれて略礼装(地味な平服)で構いませんが、喪主・施主側は黒基調でまとめると安心です。

(関連:[葬式の服装・数珠の基本

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併修(まとめて)と日取りの考え方

同年に複数の年忌が重なる場合、まとめて一度にお勤め(併修)することがあります。読経の順番や塔婆の扱いなど、お寺の作法に沿えば問題ありません。お布施は「一つ分+α」を目安に、必ず菩提寺に確認しましょう。
また、暦注(大安・友引)は、仏事では本質的ではありません。寺院・会場・親族の都合を優先し、集まりやすい日を選ぶのがいちばんです。

宗派・地域の違い

浄土真宗は、回忌の意味づけや作法に独自の考え方がありますが、三十三回忌で弔い上げという実務の落としどころは他宗派と大きくは変わりません。迷ったら住職の指示に従えばOKです。
神式(神道)では「年祭」という呼び方になり、五十年祭などの節目を重んじます。表現やお供えが異なるため、神職への事前相談が安心です。
沖縄は清明祭(シーミー)や地域独自の慣習が強く、親族で集う年中行事の中に年忌が溶け込むことも。現地の親族・寺社の慣習に合わせましょう。

五十回忌(遠忌)に軽く触れておきましょう

五十回忌は“遠忌(おんき)”と呼ばれる遠い年回りです。都市部では家として個別に営むことはかなり少数派ですが、地方の慣習寺院の合同法要として供養することがあります。弔い上げを済ませたあとは、無理に家単独で続けず、寺院の年中行事や合同供養の中で手を合わせる形に移す——このくらいの軽い触れ方で十分です。

我が家の“決め方”フロー(やさしい基準)

  1. 菩提寺・神社の方針:まずは一声。地域の作法に沿うのが最短です。
  2. 家の事情:集まれる人数・距離・費用・施主の体力。無理はしない。
  3. 大切にしたいこと:時間をかけて集うか、日々の供養を丁寧に続けるか。
    ——この三つの輪が重なるところに、あなたの家の“正解”があります。

よくある小さな疑問に短く

Q. 命日に都合が合いません。前倒しできますか?
A. はい、前倒しは実務上よくあります。先延ばしは避け、住職に相談のうえで日取りを。

Q. 参列者が少なくなってきました。続けるべき?
A. 無理は不要。十七回忌または三十三回忌で弔い上げし、日々の供養へ移行するのが現実的です。

Q. 会食は省いても失礼になりませんか?
A. 問題ありません。法要のみ→解散でも丁寧です。粗供養(手土産)で気持ちを添える方法も。

3行まとめ

  • 一般的な区切りは三十三回忌、現実解として十七回忌で締める家も増加。
  • 前倒し・併修はOK。数え方は「回忌 − 1年」が基本、迷ったら菩提寺に確認。
  • 五十回忌(遠忌)は軽く触れる程度で十分。無理のない形で、日々の供養へ。

やることが増えるほど、心は置いてきぼりになりがちです。区切りは“終わり”ではなく、その後も静かに続いていくお参りを守るための工夫。あなたの家に合うやり方で、ていねいに整えていきましょう。


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