はじめに
法要のお供えは、故人に対する感謝や祈りを形にする大切な行為です。「お花はどんなものがいいの?」「お菓子や果物は何を選べば失礼にならない?」「のし紙や金額はどうする?」など、迷うポイントはたくさん。迷っても無理をせず、心を込められる範囲で整えるのが一番です。ここでは、現役葬祭ディレクターの視点から、お供えの基本と選び方、押さえておきたいマナーをまとめました。
この記事でわかること
- 供花・菓子・果物の選び方と避けるべきポイント
白い胡蝶蘭やユリなど定番の花から、日持ちする個包装のお菓子や季節の果物まで、どんな品を選べばいいかがわかります。 - 掛け紙・表書きのマナーと地域の違い
弔事用の掛け紙の書き方、のしと水引の違い、地域による色の違いなど、迷いがちなマナーを整理します。 - 金額の目安と渡し方の基本
3,000円〜5,000円程度の相場や、現金を包むときの金額の目安、渡すタイミングや郵送のコツをお伝えします。
3行まとめ
- お供えは「心を届けるもの」で、華美な品より気持ちを大切に。
- 白や淡い色の花、日持ちするお菓子や果物を選び、奇数の数を意識する。
- 弔事では掛け紙を使い、金額は無理のない範囲で3,000〜5,000円を目安に。
お供えの基本
お供えとは、故人を偲び、感謝の気持ちを表すためにお花や菓子、果物などを仏前や祭壇に供えることを指します。仏教では「消え物」と呼ばれる後に残らないものを選ぶのが基本です。大切なのは、豪華さよりも心づかい。故人の好きだったものや季節の恵みを取り入れて、無理のない範囲で用意しましょう。
供花の選び方
四十九日までの法要では、白い胡蝶蘭やユリ、リンドウ、キンセンカなど落ち着いた色の花がよく選ばれます。プリザーブドフラワーもマナー違反ではありません。トゲのあるバラや強い香りの花は避けるべきとされています。
贈る本数は5・7・11本など奇数を選び、4(死)や9(苦)という数字は避けます。四十九日を過ぎれば淡い色であれば菊以外の花も選べるので、故人が好きだった花を取り入れても構いません。
お菓子・果物の選び方
お供え用の菓子は、法要後に参列者で分けられるよう個包装で日持ちするものを選びます。クッキーやマドレーヌ、ゼリー、羊羹、饅頭、せんべい、落雁などが人気です。お盆には水羊羹や涼しげなゼリーなども喜ばれます。
果物は故人が好んでいたものや旬のものを選びましょう。香りが強すぎたり日持ちしないものは避け、カゴに盛る場合は見栄えを考えて奇数個にします。肉や魚、お酒などは宗派により禁じられている場合があるので控えます。
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掛け紙・のしのマナー
弔事では赤いのしは付けず、水引のみが描かれた「掛け紙」を使います。水引は結び切りで、表書きには「御供」「御供物」「御仏前」などを用いるのが一般的です。キリスト教の法要では「御花料」と記す場合もあります。
地域によって水引の色(黒白・黄白など)が異なるので、迷ったときは菩提寺や葬儀社に確認しましょう。渡す際は風呂敷や紙袋から出し、正面を相手に向けて両手で渡します。
金額の目安
お供え品にかける金額は3,000円〜5,000円程度が一般的な目安とされています。初盆や特別な法要では、この範囲に白を基調としたフラワーアレンジメントを加えるのも良いでしょう。
供物料として現金を包む場合は、関係性によって金額が変わります。知人や友人なら5,000円前後、親しい親族なら1〜3万円程度が多いようです。金額は「気持ち」に比例するものであり、無理のない範囲で用意することが大切です。
渡し方・タイミング
お供えは法要当日に持参し、家の方へのご挨拶を済ませた後に風呂敷や紙袋から出して手渡します。郵送する場合は、地域の盆入りの前日(8月盆なら8月12日)までに届くよう手配し、掛け紙が破れないよう包装紙の内側に掛け紙を掛けるのがマナーです。送ったことを事前に伝えておくと安心されます。
よくある質問
Q1. お供えは現金だけでも失礼になりませんか?
A1. 弔問側の状況や距離感によっては、現金だけでも失礼にはあたりません。香典や供物料として現金を包み、「御仏前」「御供物料」などの表書きで気持ちを伝える形です。ただ、「何か形に残るものも…」と感じる場合は、3,000〜5,000円程度のお菓子や果物を添えると、より丁寧な印象になります。
Q2. 花とお菓子、どちらを持っていくのが無難ですか?
A2. 相手のご自宅や会場の設備が分からないときは、お菓子の方が無難です。花は飾るスペースや花瓶の有無も関わるため、遺族の負担になることもあります。日持ちする個包装のお菓子なら、法要後にみんなで分けやすく、「消え物」としても定番です。
Q3. 金額が相場より少なくても大丈夫でしょうか?
A3. 相場はあくまで目安なので、無理をして背伸びする必要はありません。自分の家計や立場に合わせて、可能な範囲の金額で整えれば大丈夫です。気になる場合は、金額を抑えた分、メッセージカードを添えるなどして、言葉で気持ちを補ってあげると安心です。
Q4. お供えと香典は両方用意した方がいいですか?
A4. 必ず両方用意しなければならないわけではありません。一般的には「香典+小さめのお供え」か、「香典のみ」「お供えのみ」のどれかで問題ありません。すでに葬儀のときに十分なお香典を渡している場合は、お供えだけにして負担を抑える、という考え方もあります。悩むときは、遺族の負担が重くなりすぎない組み合わせを意識してみてください。
おわりに
お供えは、形式に縛られすぎず故人を思い出す時間を大切にすることが何よりです。誰かの「どうしよう?」にそっと寄り添えるよう、ここで紹介した基本を参考にしてみてください。迷ったときは菩提寺や葬儀社に相談しながら、無理のない範囲で準備していきましょう。このページが、あなたの心を少しでも軽くする手助けになればうれしいです。


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