香典辞退が主流のいま、施主が払う総額に効く“可変ポイント”は限られています。この記事は、供花はドナー(各自)負担=総額とは切り離すを前提に、料理/日数(安置・保全)/車両・導線/時間外など“施主持ちの変動費”だけを地図化します。あわせて供花の基数制限は設けない運用も整理します。
3行まとめ
- 総額の主戦場は料理・日数・車両(導線)・時間外・供養品。
- 供花は原則ドナー負担、基数は注文者の希望どおり(色指定は不可が多い)。
- 迷ったら「人数×単価」「日数×保全」「導線×台数」の3式でOK。
お金の不安は“どこが動くか”を知るだけで半分消えます。必要なところだけ整えれば大丈夫。
前提──総額の式と「供花は別会計」
関連記事:「葬儀費用の目安と内訳」
総額の型
総額 = 固定費(式場・火葬・基本セット)+供養品
+ 〔人数×単価〕(料理・飲料)
+ 〔日数×保全費〕(安置・ドライアイス 等)
+ 車両・時間外・オプション
供花は別会計
- 供花は各自が葬儀社へ直接決済が基本。施主の総額からは切り離して考える。
- 基数制限は設けない。注文者の予算に合わせた希望数を受ける。
- ただし運用上の連絡・札の整理は事前にルール共有しておくと混乱がない。
供花が総額に影響しうる例外(念のため)
- 一括請求・立替(会社分など)→回収リスクに注意。
- 補花(バランス調整)→祭壇側の追加装花=オプション費。
- 札の再作成(誤字差替)→有料の会場あり(小額)。
供養品(会葬御礼・粗供養)の考え方──当日返しと役割を分ける
供養品の位置づけ──「当日返し」とは別
- 香典辞退+供養品配布はよくある運用。
- 供養品は“ありがとうの形”で、施主持ちの費用。在庫は〔参列人数×単価〕で増減。
- 当日返し(2,000/3,000円帯)とは別に、少額・一律の御礼として扱う。
単価と品目の決め方(実務の目安)
- 単価イメージ:数百円〜1,500円弱の常温・長期保存品が主流。
- 品目例:お茶・焼菓子・ハンドタオル・ティッシュセット・入浴料プチギフトなど。
配布と在庫の運用
- 配布方法:受付で1人1点/お焼香の後にスタッフ手渡し。
- 在庫数:参列予測+予備5〜10%。返品は葬儀社にもよりますが使用した分だけ買取で残りは返品可能なところも多いです。※要確認
- 保管:常温可/匂い移りしないものを選ぶと会場でも扱いやすい。
表書き・名義(関西の呼称も含む)
- 表書き:全国的には「志」、関西では「粗供養」も一般的。
- 名義:喪家名(または施主名)。
- 会葬礼状:供養品とセットで簡潔な礼状を同封すると丁寧。
案内文(コピペ可)※葬儀社準備が多い
本日はご会葬いただきまことにありがとうございます。
香典はご辞退申し上げております。
ささやかではございますが、供養品をお受け取りください。
ミニ在庫メモ(供養品)[コピペ用]
- 単価:◯◯円前後(常温・長期保存)
- 点数:予測◯点+予備5〜10%
- 配布:受付/引換券/出口(方法:__)
- 表書き:志/粗供養 名義:__家
- 礼状:同封する/しない(文面確定済)
料理(通夜振る舞い・精進落とし)──〔人数×単価〕の柱
合わせて読む:「公営と民営の斎場の違い(移動と費用の影響)」
要否の決め方(文章版チャート)
- 小規模+遅い時間→軽食または無し。近隣の飲食店に移動するのもあり。
- 告別後に親族がまとまる→精進落とし有り(短時間・弁当形式も運用しやすい)。
- 子ども・遠方客が多い→弁当形式で座席回転をスムーズに。
単価帯と確定タイミング(前日◯時で締め)
- 単価帯は会場ごとに幅。総額=人数×単価で概算。
- 前日◯時で確定、当日追加は不可または限定が増加。不足は飲料・個包装で補う設計に。
アレルギー対応は“不可が増加”→個別持込を推奨
- 完全対応が難しいケースが増えているため、個別持込可否と保管方法を事前確認。
- 依頼テンプレ: アレルギー:◯◯(◯名)。個別持込可否と保管・受け渡し方法をご指示ください。
持ち帰りは基本不可
- 衛生・保健所指導で持ち帰り禁止が原則。タッパー等の容器提供も不可。
- その点が気になるなら最初から弁当メニューを選び、その場で完結する設計が安心。
ミニ在庫メモ(料理)[コピペ用]
- 形式:会食/弁当(会場規定に従う)
- 確定:前日◯時、当日変更不可 or 限定
- 人数:大人◯/子ども◯
- アレルギー:個別持込(事前連絡済)
- 持ち帰り:不可
日数(安置・保全)──〔日数×保全費〕の柱
増減の要因
- 友引・混雑での待機/遠方親族の到着待ち。
- 安置形態(自宅・式場安置・面会可否)による費用差。
コントロールのコツ
- 予定が読めない時は最長想定を先に持つ→不要分を削る。
- 面会希望が多い場合は、面会時間の共有で来場を分散。
車両・導線・時間外──“見落としで増える”枠
車両(マイクロバス・タクシー・霊柩)
- 本数・往復回数が総額に直結。集合・解散場所をシンプルにして本数を抑える。
- 参列が多い場合は、台数を絞って時間幅を広めにの方が負担が少ないことも。
時間外・延長
- 搬入・開式・火葬枠のズレで時間外料金が発生する会場あり。
- 深夜の搬送は深夜料金が加算されるケースあり。
祭壇装花と供花の役割分担(運用を整える)
供花:基数制限なし/注文者の希望どおり
- 注文者の予算に合わせた希望数を受ける(上限は設けない)。
- 色指定は原則不可(白基調が多い)。札表記は事前にテキストで校正。
- 連名も可。大量になりそうな場合は連名でまとめる案内が整理に有効。
- 案内文(コピペ可) 供花はご予算に合わせてご希望の基数を承ります(連名も可能)。
色指定は承れない場合が多く、全体の色合いは祭壇側で整えます。
祭壇:印象と費用は“遺族の希望”で動く
- 色調・差し色・量感を家族の言葉で指定(例:穏やか/凛と/温かい)。
- 追加の差し色・ボリュームはオプション費=ここは節約も投資も効く領域。
残花は「遺族用」
- 一般参列への配布は準備時間がかかるため基本想定せず。
- 遺族向けに1束ずつまとめられる。資材(袋・輪ゴム・短冊)は葬儀社に常備。
当日返しは“浅く”(香典辞退が前提)
- 置くなら2000 or 3000円を先に決めるだけ。
- 当日追加は不可が多い=在庫リスクが高いので、辞退運用が増えている。葬儀社によってこちらも返品可能。
よくあるQ&A
Q. 供花は何基が一般的?
A. 基数制限はありません。注文者の予算に合わせた希望数を受けます。量が多い場合は連名で整理すると見やすくなります。
Q. 供花の色は選べますか?
A. 供花の色指定は原則不可。全体の雰囲気は祭壇装花側で調整します。
Q. 残花は参列者にも分けられますか?
A. 遺族用が基本。一般配布は時間を要するため現実的でないことが多いです。
Q. 料理のアレルギー対応は?
A. 対応不可の増加により個別持込を推奨。会場の保管・受け渡しルールに従います。
Q. 料理は持ち帰れる?
A. 基本不可。容器提供もできません。その場で完結する弁当設計が安心です。
まとめ──“3つの式”だけ覚える
- 人数×単価(料理・飲料)
- 日数×保全費(安置・ドライアイス 等)
- 導線×台数(車両・時間外)
供花は原則別会計。供養品は“足りる>余る”でOK(返品可否は事前確認)。
足し引きの場所が見えれば、心は落ち着く。必要なところだけ整えれば、それで十分です。
関連ページ
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