遺言書とエンディングノートの違い――私らしい“想いの残し方”を見つけよう

はじめに:どっちが必要?と悩むあなたへ

「遺言書とエンディングノート、何が違うの?」
「どっちを書けばいいのかわからない…」

そんな声を、葬祭の現場ではよく耳にします。

実はこの2つ、目的も効力もまったく違うもの。
でも、どちらも“あなたらしい想い”を形にする、大切な手段です。

この記事を読めば、
あなたが本当に求めている「想いの残し方」のヒントが見つかり、未来の不安が少し軽くなるはずです。

違いをざっくり比較

項目遺言書エンディングノート
法的効力あり(正式な手続きが必要)なし(自由に書ける)
書く内容相続、財産分与、後見人指定など医療、介護、葬儀、想い、SNSなど
書く目的法的な意思を残すため気持ちや希望を伝えるため
書き方自筆、公正証書、秘密証書など形式が決まっている形式自由。ノート、アプリ、PCでもOK
作成に必要な人一人でも書けるが、専門家がいると安心自由。家族や友人と一緒に書いても◎
保管方法家庭、法務局、公証役場など厳重に家庭内で共有・身近な場所に保管

遺言書が向いている人:法的な安心を求めたいあなたへ

相続トラブルを防ぎたい
→ 「まさか」の家族間の争いを避けたい方に。

特定の希望を法的に実現したい
→ 例:「長男には実家を継いでほしい」「特定の財産を寄付したい」

大切な人にしっかり意思を伝えたい
→ 財産、後見人、ペットの行き先なども指定可能。

法的効力が必要な人向け
→ 専門家のサポートも視野に。

エンディングノートが向いている人:心のバトンをつなぎたいあなたへ

医療・介護・葬儀・SNSのことも含めたい
→ 「延命治療の希望」「葬儀は家族葬に」「SNSはこうしてほしい」

気持ちを自由に残したい
→ 感謝の言葉、趣味のこと、推しへの想いも。

終活をこれから始める人に
→ スマホのメモアプリで始めてもOK。
まずは“思い出すこと”からスタート。

両方あると安心!私がそう思う理由

私はこれまで、数多くのご家族と「お見送りの現場」を共にしてきました。

  • 遺言書がなかったことで、財産分割の話し合いがまとまらず、
     お互いに深く傷ついてしまったご家族――
  • エンディングノートに書かれていた“たった一言”が、
     残された人の心を救ったというエピソードもあります。

たとえば、
「僕の好きだったバイクの音、最後に聞きたい」
というメモを見つけたご遺族が、
エンジン音を録音して、祭壇のそばでそっと流していました。

バイクを式場に入れたこともあります。

その音に涙した家族の姿が、今でも忘れられません。

だから私は伝えたいのです。
「法的な整理は遺言書で。心の整理はエンディングノートで。」
どちらも必要な“想いの橋渡し”です。

書くタイミングとおすすめの順番

まずはエンディングノートから!
→ 思いや希望を整理し、「こんなふうに生きたい」という未来像をメモしてみましょう。

必要に応じて、遺言書へ
→ 専門家に相談しながら、法的な形にしていけばOK。

どちらも「完璧」じゃなくていいんです。
まずは「1行」から、気持ちを残すことが大切です。

まとめ:あなたらしい“想いの残し方”を選ぼう

大切なのは、「自分らしい形」で、“想い”を未来に残すこと。

まずは、スマホのメモ帳でも大丈夫。
「私の好きな曲」「ありがとうを伝えたい人」
——そんな一言からでも、あなたの大切な“生きた証”になります。

「禍福は糾える縄の如し」
人生には、良いことも悪いこともあるけれど、
だからこそ、“想い”を形にすることが、あなたと誰かの支えになる。

ほんの少しの時間を、自分自身のために使ってみませんか?

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました