【現役葬儀社スタッフが本音で解説】家族葬とは?メリット・デメリットをわかりやすく紹介

通夜や告別式に比べて、「家族葬」ってどんなもの?と感じたことはありませんか?

最近よく耳にする家族葬。でも、「費用が安い」「こじんまりしてる」だけでは、なかなかイメージしづらいですよね。

私は、現役の葬儀社スタッフとして、毎日のようにご家族と接し、お見送りのお手伝いをしています。

この記事では、そんな私が現場で感じていることも交えながら、家族葬の特徴やメリット・デメリットを、できるだけやさしく・わかりやすくお伝えします。

「大切な人を、自分らしく見送りたい」
「後悔のないお別れにしたい」

そんな想いを持つあなたのために、この記事が“ヒント”になれば幸いです。

読後には、家族葬のことがすっきりと頭に入り、判断に自信が持てるようになるはずです。

家族葬で!という方は9割以上です。しかし、その内容は千差万別。大袈裟にしないことを”家族葬”と表現されるイメージです。

この記事でわかること

  • 家族葬の基本──“誰を呼ぶか”を家族で決める小規模葬の総称で、厳密な定義はない
  • メリット(負担軽減・意向反映・費用の見通し)とデメリット(訃報周知の難しさ・香典収入減・後弔問対応)
  • どんな人/状況に向く? 一般葬・一日葬・直葬との選び分け
  • 香典・弔電・供花の扱いと、トラブルを防ぐコツ(案内文例・近所/職場への周知)

👉後悔しない葬儀選び|直葬と家族葬の違いを現役スタッフが解説します

3行まとめ

  • 家族葬は“範囲をしぼる小規模葬”の総称。まず参列範囲と香典の取り扱い方針を家族内で共有
  • メリットは負担と混乱の縮小、デメリットは訃報の伝達漏れと後弔問対応の増加
  • 迷ったら、関係者の顔ぶれと費用の考え方で“家族葬/一般葬/一日葬/直葬”を選び分け

家族葬とは?――定義と現代の主流スタイル

「家族葬」という言葉、最近よく聞くようになりましたが、実は明確な定義があるわけではありません。

多くの場合、「家族やごく親しい人たちだけで行う、少人数のお葬式」を指します。

では、実際にはどんな形式なのでしょうか? 現場でよくあるケースをもとに、解説していきます。

明確な定義はない?――“誰とどんなふうに送るか”がポイント

家族葬に決まったルールや形はありません。

「故人のために、誰と、どんなふうに見送りたいか」がとても大切になります。

たとえば…

  • ご家族だけで静かに見送りたい
  • 遠方からの親戚に負担をかけたくない
  • 生前のご意向で「身内だけで」と決まっていた

こんなふうに、“形式より想い”を重視するお葬式が家族葬と言えるかもしれません。

現役の葬儀社スタッフとしても、こうしたご家族の気持ちに寄り添う形が増えていると感じます。

最近の家族葬事情(関西の現場から)

私が関西で担当している現場では、家族葬は今や主流になりつつあります。

参列者はだいたい5〜20名程度。
親族だけでなく、「故人の大切な友人」や「生前お世話になった方」も含まれることが多いです。

遠方で亡くなった場合は、火葬してから遺骨を運び、菩提寺にてお経を読んでいただくケースもあります。

また、親族間での考え方の違い(たとえば「知らせる・知らせない」)によって、トラブルになるケースもあります。

だからこそ、事前に「誰を呼ぶのか」「どんな形にするのか」の希望を家族内で話し合っておくことがとても大切なんです。

家族葬のデメリット・注意点は?

家族葬は「小規模で静かなお別れ」ができる反面、注意しておきたい点や誤解もあります。

ここでは、よくある3つのデメリットを挙げて、実際の現場から感じたことも交えてご紹介します。

メリットデメリット早見表

家族葬のメリット・デメリット(要点)
観点 メリット デメリット/注意点
参列範囲 対応がしやすい/別れの時間を確保 訃報の伝達もれ→後弔問の増加
費用 返礼・飲食が抑えやすい 香典収入が少なく“持ち出し”が増える
家族の満足 本人/家族の意向を反映しやすい 親族間の温度差が出やすい
対外対応 公的な挨拶の負担が軽い 職場・地域への周知が別途必要

※地域差・宗派差あり。案内状(訃報)の表現を明確にするのが最重要。

費用が意外と安くならない?

「小規模だから費用も安く済むでしょ?」と思われがちですが、実はそう単純ではありません。

というのも、式場の使用料や火葬費、棺・骨壺などの基本的な部分は、参列者の人数に関係なく発生します。

加えて、香典を辞退するケースも多いため、「香典収入による相殺」がない分、自己負担が大きくなることも。

場合によっては、一般葬より費用が高くなることもあるため、事前に見積もりを確認することが大切です。

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後から知った人に不快感を与えることも

「知らせなかった」「呼ばれなかった」と後で知った方から、思わぬ誤解や寂しさの声が寄せられることもあります。

特に故人と親しかった友人や、会社関係の方など、呼ぶかどうか迷うケースも多いです。

私の経験でも、「知らせてくれたら行きたかった」と後日話されたことがあり、ご遺族が申し訳なさそうにされていた場面がありました。

家族葬を選ぶ場合は、「事後報告」や「手紙でのお知らせ」など、配慮のある対応も忘れずに。

親族間で意見が割れることも

「静かに見送りたい」という想いに対して、「もっと多くの人に来てもらいたかった」という親族がいた場合、方向性の違いが表面化してしまうことがあります。

また、呼ばれていないことに不満を持つ方がいたり、「家族葬」と伝えたのに勝手に参列者を増やす…というようなトラブルも実際にあります。

家族葬を選ぶ際は、あらかじめご親族間でしっかりと話し合っておくことが、何よりのリスク回避になります。

こんな人に家族葬はおすすめです

家族葬には向いている方・ご家庭の傾向があります。

ここでは、現場で実際に感じた「家族葬を選んでよかった」と思われていたケースをご紹介します。

向いているケース/他形式との選び分け

  • 家族葬が向く:参列者の高齢化/遠方が多い/本人が“静かに”を希望/関係者が限られる
  • 一般葬が向く:社会的つながりが広い/弔問の機会を広く設けたい
  • 一日葬が向く:負担は軽くしたいが、儀式性は保ちたい(通夜なしの一日で完結)
  • 直葬(火葬式)が向く:儀式よりシンプル/費用最小を優先(後日にお別れ会など)

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故人の希望が「身内だけで静かに」だった

「人を呼ぶのは申し訳ないから、身内だけでやってほしい」と生前に語られていた方のケースです。

ご家族もその想いを尊重し、家族葬を選択されたことで、穏やかな雰囲気の中、ゆっくりとしたお別れができていました。

エンディングノートや口頭での会話に、故人の意志が残っていたことが大きな後押しになったと感じました。

高齢の方や遠方の親族が多い

参列自体が負担になる方が多い場合、家族葬で最小限の負担に抑える配慮ができます。

また、「体調の都合で来られない」「交通手段がない」などの理由で、無理に招くよりも家族葬にして気持ちを込めて送るという選択も増えています。

生前の交流が限られていた場合

「友人も少なくなってきた」「仕事関係者にも迷惑をかけたくない」というように、交流が限られていた場合には、家族葬が自然な流れになることもあります。

無理に一般葬にしようとすると、「呼ぶ人がいないのに会場が大きい」など、気疲れやコスト面での不安が出てしまうケースも。

少人数でも、心のこもったお別れができれば、それが一番だと感じます。

「ゆっくりと心の整理をしたい」と思うご家族

喪主やご家族が、参列者への対応よりも「故人との時間」に集中したいと感じている場合、家族葬はとても良い選択肢です。

人目を気にせず、思い出を語り合い、感情をそのまま出せる場であることは、結果的にご家族の“グリーフケア”にもつながると感じています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 家族葬で“どこまで呼ぶ”が決められない
A. 二親等(きょうだい・孫)を中心に、故人と親交の深い友人までを上限に。迷う相手は訃報のみにして参列は辞退の文言で調整。

Q2. 家族葬で香典は必要?辞退の書き方は?
A. 受け取るなら一般葬と同様。辞退するなら「ご香典・ご供花・ご弔電は固くご辞退申し上げます」と案内状/掲示に明記。

Q3. 家族葬に呼ばなかった方への“後対応”は?
A. 手短な事情説明(家族葬で実施/参列辞退のお願い)+お礼状、必要に応じて品の軽い返礼(茶・菓子)で丁寧に。

Q4. 社内の関係者は?
A. 直属上司と人事に“参列可否の方針”を共有。参列辞退なら社内回覧/掲示で一律アナウンスに。

まとめ:後悔しないために大切なこと

家族葬は、「形式にとらわれず、心のこもったお別れをしたい」という想いに寄り添ったお葬式のかたちです。

しかし、静かに行えるからこそ、「あの人を呼ばなかったけど良かったのかな」「本当にこれで良かったのかな」と、あとで不安になることもあります。

だからこそ、家族だけで決めるのではなく、少しでも迷いがある時は「気軽に相談できる先」を見つけておくことが大切だと思います。

👉葬儀の事前相談アンケート完全版|初回に聞くことチェックシート

お葬式は、故人を見送るだけでなく、残された人たちが「心を整える時間」でもあります。

「家族葬が良い・悪い」ではなく、どんな送り方が自分たちらしいのかをじっくり考えることで、きっと後悔のない選択ができるはずです。

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ご家族にとっての“正解”は、他の人と比べた中にはありません。

「こんな風に送ってあげたい」という気持ちが何より大切。

迷ったら、ひとりで抱え込まずに、いつでもご相談ください。

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