戒名はいらないけどお寺は呼びたい|戒名なし葬儀・俗名で送る注意点

この記事は約20分で読めます。

はじめに

お葬式の相談を受けていると、時々このような希望を聞くことがあります。

「お寺には来てもらいたい」
「お経はあげてほしい」
「でも、戒名はいらない」
「できれば、今まで使っていた名前で送ってあげたい」

一見すると、少し矛盾しているように聞こえるかもしれません。

仏式の葬儀をするなら、戒名も必要なのではないか。
戒名をつけないなら、無宗教葬にした方がよいのではないか。

そう感じる方もいると思います。

実際、お寺側から見れば、

「戒名がないのに、なぜ仏式で葬儀をするのか」
「お経だけ読んでほしい、というのはどういう意味なのか」

という疑問が出ても不思議ではありません。

戒名は、単なる名前の飾りではありません。
宗派によって考え方や呼び方は違いますが、仏教の教えの中で故人をどう受け止めるかに関わる、大切な意味を持つものです。

一方で、ご家族の気持ちもまた単純ではありません。

「無宗教にしたいわけではない」
「昔からの形で、静かに手を合わせる時間はほしい」
「親族の手前、お寺に来てもらった方が落ち着く」
「でも、故人の名前は、生きていたときのままで覚えていたい」

この気持ちも、決しておかしなものではありません。

戒名には戒名の意味があります。
そして俗名には、家族が呼び続けてきた名前としてのぬくもりがあります。

大切なのは、戒名をつけるか、つけないかを急いで決めることではありません。

お寺に読経をお願いするのか。
菩提寺はあるのか。
納骨先はどこなのか。
今後の法要をどう考えるのか。

そこまで含めて整理しておくことです。

葬儀全体の流れから先に確認したい方は、葬儀の流れをわかりやすく解説|通夜・葬式・火葬までも参考にしてください。

この記事では、戒名なし・俗名で葬儀を考えている方に向けて、できること、確認すべきこと、後から困らないための考え方を、葬儀の現場目線でわかりやすく整理します。

この記事でわかること

・戒名なし、俗名で葬儀をすることはできるのか
・「お経はほしいけれど戒名はいらない」という考え方の注意点
・菩提寺がある場合に、必ず確認しておきたいこと
・戒名なしで納骨できるかどうかの考え方
・俗名で位牌やお墓を考えるときの注意点
・仏式葬儀、無宗教葬、家族葬の違い

3行まとめ

戒名なし・俗名で葬儀をすること自体は可能です。
ただし、お寺を呼ぶ場合や菩提寺のお墓に納骨する場合は、寺院側の考え方を必ず確認する必要があります。
「戒名はいらないけどお経はほしい」という気持ちは自然ですが、葬儀・納骨・今後の法要まで含めて整理しておくことが大切です。

俗名とは、生前に使っていた名前のこと

俗名とは、亡くなる前に日常生活で使っていた名前のことです。

たとえば、戸籍上の名前、家族や友人が呼んでいた名前、仕事や地域の中で使っていた名前などが俗名にあたります。

一方で、戒名は仏教の考え方に基づいて授かる名前です。
宗派によっては「法名」「法号」と呼ぶ場合もあります。

ここで大切なのは、俗名と戒名のどちらが上か下か、という話ではありません。

俗名は、その人がこの世で生きてきた名前です。
家族が呼び、友人が呼び、本人も長年使ってきた名前です。

戒名は、仏教の教えの中で故人を受け止める名前です。
仏弟子としての意味や、供養の中での位置づけが込められています。

つまり、俗名と戒名は役割が違います。

だからこそ、

「戒名はいらない」
「俗名で送りたい」

という希望が出たときは、単に費用の話だけで考えない方がよいです。

その人を、どの名前で送りたいのか。
家族は、どの名前で故人を思い出したいのか。
お寺やお墓との関係はどうなっているのか。

このあたりを分けて考える必要があります。

戒名は、仏教の中で故人を受け止める名前

戒名は、単なる死後の名前ではありません。

一般的には、仏教の教えの中で故人を受け止める名前として考えられています。
宗派によって、戒名、法名、法号など呼び方や意味合いは異なります。

たとえば、浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」と呼びます。

そのため、この記事ではわかりやすさを優先して「戒名」という言葉を使っていますが、実際には宗派によって呼び方や考え方が違う点に注意してください。

戒名をつけるかどうかは、費用だけの話ではありません。
お寺との関係、納骨先、今後の法要にも関わることがあります。

だからこそ、戒名なし・俗名で葬儀を考える場合は、早めに確認しておくことが大切です。

戒名なしで葬儀はできるのか

結論から言うと、戒名なしで葬儀をすること自体は可能です。

葬儀社としては、俗名で葬儀を進めることはできます。
式場の案内、遺影、会葬礼状、焼香の案内、喪主挨拶なども、俗名で整えることは可能です。

ただし、ここで注意したいのは、次のことはすべて別問題だという点です。

・葬儀社が俗名で式を整えられるか
・お寺が戒名なしで読経を引き受けてくれるか
・菩提寺が戒名なしを認めるか
・寺院墓地に俗名で納骨できるか
・今後の法要をどうするか

「戒名なしで葬儀はできますか?」という質問に対して、葬儀社の立場からだけ答えれば「できます」となります。

でも、それだけでは不十分です。

お寺が関わる場合。
菩提寺がある場合。
お墓が寺院墓地にある場合。

この場合は、葬儀だけで終わらず、納骨や法要にもつながっていきます。

葬儀当日は何とか進められても、後から納骨の段階で困ることがあります。
親族から「なぜ戒名をつけなかったのか」と言われることもあります。
菩提寺との関係がこじれる可能性もあります。

だから、戒名なしで葬儀をする場合は、

「葬儀ができるか」だけでなく、
「その後も困らないか」

まで考えておくことが大切です。

戒名なしでお経だけお願いしたい、という気持ち

「お経はあげてほしいけれど、戒名はいらない」

この希望は、葬儀の現場では決して珍しい感覚ではありません。

ご家族の中には、仏教に深く詳しいわけではないけれど、昔からの葬儀の形には安心感を持っている方がいます。

お坊さんに来てもらい、読経があり、焼香をして、静かに手を合わせる。

その時間があることで、

「ちゃんと送れた」
「区切りがついた」
「親族にも説明しやすい」
「故人に申し訳ない気持ちが少し和らいだ」

と感じる方もいます。

一方で、戒名については、

「本人が望んでいなかった」
「生前の名前で送ってあげたい」
「戒名料の負担が大きい」
「普段からお寺との付き合いがない」
「宗教的な意味まではよくわからない」

と感じることもあります。

この気持ちを、単純にわがままだとは言い切れません。

人は、理屈だけで葬儀を選んでいるわけではないからです。

お経の声を聞くと落ち着く。
焼香をすると、見送った気持ちになる。
お寺に来てもらうと、葬儀らしい形になる。

そういう感覚は、長く日本の葬儀の中に残ってきたものでもあります。

お経の意味をもう少し整理したい方は、お経の意味とは?現役スタッフがやさしく解説しますもあわせて読むと整理しやすいです。

ただし、ここで一度立ち止まる必要があります。

お経はほしい。
でも戒名はいらない。

この希望は、ご家族側の気持ちとしては理解できます。
しかし、お寺側から見ると、必ずしも当然の希望ではありません。

戒名なしで仏式葬儀をすることへの違和感もある

ここは、きれいごとで流してはいけない部分です。

仏式の葬儀は、単なるセレモニーではありません。
お坊さんを呼び、お経をあげてもらい、焼香をするということは、仏教の儀礼として故人を送るということです。

その中で戒名、または宗派ごとの法名や法号には、宗教上の意味があります。

そのため、お寺側からすれば、

「戒名はいらないけれど、お経だけ読んでほしい」
「仏式の形はほしいけれど、仏教上の名前はいらない」

という希望に、違和感を持つことがあります。

もっと率直に言えば、

「それなら、なぜ仏式で葬儀をするのか」
「お経を何のためにあげるのか」
「読経をサービスの一部のように考えていないか」

という見方もあり得ます。

これは、意地悪な話ではありません。
仏式葬儀を、宗教儀礼として真剣に受け止めているからこそ出てくる視点です。

戒名なしでお寺を呼びたい場合は、この視点を無視しない方がよいです。

家族の気持ちは大切です。
でも、お寺にもお寺の考え方があります。

葬儀は、家族だけで完結するものではありません。
宗教者にお願いするなら、その宗教者が大切にしている意味も尊重する必要があります。

だからこそ、戒名なしで読経をお願いしたい場合は、事前に率直に相談することが大切です。

「戒名は考えていないのですが、読経だけお願いすることはできますか」
「俗名で葬儀をしたいのですが、対応していただけますか」
「今後の納骨や法要に支障はありますか」

この確認をせずに進めると、後から困る可能性があります。

俗名で送りたい気持ちは、冷たいことではない

一方で、俗名で送りたいという気持ちも、軽く見てはいけません。

戒名をつけないと聞くと、

「費用を抑えたいだけではないか」
「宗教を大事にしていないのではないか」
「故人への供養が足りないのではないか」

と感じる方もいるかもしれません。

でも、実際にはそれだけではありません。

ご家族の中には、

「長年呼んできた名前で見送りたい」
「お墓にも、本人の名前を刻みたい」
「知らない名前より、家族が知っている名前で覚えていたい」
「その人らしさを大切にしたい」

という思いで、俗名を希望される方もいます。

これは、決して冷たい考えではありません。

むしろ、その人がこの世で生きてきた時間を大切にしたい、という気持ちに近いと思います。

戒名は、仏教の中で故人を受け止める名前。
俗名は、家族や友人が、その人を思い出すための名前。

どちらにも意味があります。

だから、戒名をつけるかどうかを考えるときは、

「戒名料が高いか安いか」
「必要か不要か」

だけで決めない方がよいです。

故人をどう送りたいのか。
家族はどの名前で手を合わせたいのか。
お寺やお墓との関係をどう考えるのか。

そこまで含めて考えた方が、後悔しにくくなります。

菩提寺がある場合は、家族だけで決めない

戒名なし・俗名で葬儀を考えるとき、特に注意したいのが菩提寺がある場合です。

菩提寺とは、先祖代々のお墓があったり、法事をお願いしていたりするお寺のことです。

普段あまり付き合いがなくても、家のお墓がそのお寺にある場合は、葬儀や納骨の場面で関係が出てくることがあります。

この場合、

「戒名はいらない」
「俗名で葬儀をしたい」
「お経だけあげてほしい」

という希望を、家族だけで決めてしまうのはおすすめしません。

なぜなら、葬儀当日だけの問題ではないからです。

葬儀は俗名で進められたとしても、その後に納骨があります。
一周忌や三回忌などの法要をお願いする可能性もあります。
お墓が寺院墓地であれば、そのお寺の考え方や決まりも関わってきます。

葬儀のときは何とか進んだ。
でも、納骨の段階になって、

「戒名がないと納骨できません」
「先に相談してほしかった」
「今後の法要はどうされるのですか」

となると、ご家族が困ってしまいます。

もちろん、すべてのお寺が同じ考え方ではありません。
俗名での対応に理解を示してくれるお寺もあるでしょう。

ただし、それは確認してみないとわかりません。

だからこそ、菩提寺がある場合は、まずお寺に相談することが大切です。

「戒名をつけずに、俗名で葬儀をしたいと考えています」
「読経はお願いしたいのですが、対応していただけますか」
「納骨や今後の法要に支障はありますか」

このように、早めに確認しておくと安心です。

なお、本人の希望やお寺との付き合いを家族が知らないと、いざという時に判断が難しくなります。事前に整理しておきたい方は、エンディングノートの始め方|今日15分で書ける最初の3項目も参考になります。

戒名なしで納骨できるかは、納骨先によって変わる

戒名なしで葬儀をする場合、もうひとつ大切なのが納骨先です。

葬儀は数日で終わります。
でも、お骨をどこに納めるかは、その後も長く続く問題です。

戒名なしで納骨できるかどうかは、納骨先によって変わります。

たとえば、宗教不問の霊園や公営霊園、民間霊園などでは、戒名なしでも進めやすいケースがあります。

一方で、寺院墓地の場合は注意が必要です。

寺院墓地は、単に「お墓の場所を借りている」というだけではなく、そのお寺の檀家・信徒としての関係がある場合があります。
そのため、戒名の有無や納骨の考え方について、お寺ごとの判断が関わることがあります。

ここを確認しないまま葬儀を進めると、後から困る可能性があります。

特に、

・先祖代々のお墓に入る予定がある
・お墓が菩提寺の境内にある
・今後もそのお寺で法要をお願いする予定がある
・親族が菩提寺との関係を大事にしている

このような場合は、戒名をつけるかどうかを家族だけで決めない方が安全です。

「葬儀をどうするか」と「納骨をどうするか」は、分けて考える必要があります。

葬儀社は葬儀の手配を整えることはできます。
でも、お墓やお寺の決まりを勝手に変えることはできません。

だから、俗名で送りたい場合ほど、納骨先の確認が大切になります。

菩提寺がない場合は、選択肢が広がる

一方で、菩提寺がない場合は、選択肢が広がります。

たとえば、

・葬儀社紹介のお寺に読経をお願いする
・戒名なしで読経してもらえるか相談する
・俗名で葬儀を進める
・無宗教葬にする
・火葬式や一日葬にして、お別れの時間を大切にする
・宗教不問の霊園や樹木葬、海洋散骨などを検討する

といった選択肢があります。

ただし、菩提寺がないからといって、何も考えなくてよいわけではありません。

お寺を呼ぶなら、やはり事前に確認は必要です。

「戒名なしで読経だけお願いできますか」
「俗名で葬儀をしたいのですが、問題ありませんか」
「お布施や戒名について、どのような考え方ですか」

このあたりは、遠慮せずに確認した方がよいです。

お寺によって考え方は違います。
戒名なしでも対応してくれる場合もあれば、仏式の葬儀としては戒名が必要だと考える場合もあります。

大切なのは、あとから食い違いが起きないようにすることです。

「お寺を呼ぶ」ということは、単に読経の時間を手配することではありません。
宗教者に故人を送ってもらうということです。

だから、家族の希望だけでなく、お願いする相手の考え方も確認する必要があります。

戒名なしなら、無宗教葬という選択肢もある

戒名はいらない。
でも、お寺も呼ぶかどうか迷っている。

その場合は、無宗教葬という選択肢もあります。

無宗教葬とは、読経や焼香などの宗教儀礼にこだわらず、故人らしい形でお別れをする葬儀です。

たとえば、

・黙祷をする
・献花をする
・故人の好きだった音楽を流す
・思い出の写真を映す
・家族や友人が言葉を贈る
・手紙を読む
・棺に思い出の品を入れる

といった形で、式を組み立てることができます。

ただし、無宗教葬にも注意点があります。

自由にできる反面、何をすればよいか迷いやすい。
親族から「お経はないのか」と言われることがある。
式の流れをしっかり考えないと、間延びしてしまうことがある。

無宗教葬は、「何もしない葬儀」ではありません。
むしろ、何を大切にして見送るのかを家族で考える葬儀です。

戒名なしで考えている方の中には、無宗教葬の方が気持ちに合う場合もあります。

ただし、

「お経を聞くことで安心したい」
「親族の手前、仏式の形は残したい」
「昔ながらの葬儀の雰囲気は大切にしたい」

という場合は、無宗教葬が必ずしも合うとは限りません。

大切なのは、戒名の有無だけで決めないことです。

お寺を呼びたいのか。
読経が必要なのか。
焼香をしたいのか。
故人らしい自由な形で送りたいのか。

そこを整理してから、葬儀の形を選ぶ方が後悔しにくくなります。

無宗教葬について詳しく知りたい方は、無宗教葬とは?何もしない葬儀ではなく、静かに整えて送る方法で、流れや注意点をまとめています。

家族葬なら戒名がいらない、という意味ではない

ここも誤解されやすいところです。

家族葬と聞くと、

「小さなお葬式だから戒名はいらないのでは」
「家族だけなら自由に決めてよいのでは」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、家族葬は参列者の範囲や規模を表す言葉です。

仏式で行う家族葬もあります。
無宗教で行う家族葬もあります。
戒名をつける家族葬もあれば、俗名で行う家族葬もあります。

つまり、家族葬だから戒名が必要ない、というわけではありません。

戒名が必要かどうかは、

・お寺を呼ぶのか
・菩提寺があるのか
・納骨先はどこか
・宗派や寺院の考え方はどうか
・今後の法要をどうするのか

によって変わります。

家族葬という言葉だけで判断しないことが大切です。

「家族だけで送るから自由にしていい」と思っていても、お墓や菩提寺がある場合は、後から関係が出てくることがあります。

小さなお葬式であっても、仏式で行うなら、お寺との確認は必要です。

家族葬そのものの考え方を整理したい方は、家族葬のメリット・デメリット|失敗しない選び方と香典・案内の考え方もあわせてご覧ください。

俗名で位牌を作ることはできるのか

俗名で葬儀をする場合、位牌をどうするかも考えておきたいところです。

一般的に、仏式の葬儀では白木位牌に戒名を書き、後日、本位牌を作る流れがあります。

ただし、戒名をつけない場合は、俗名で位牌を作ることを希望される方もいます。

俗名で位牌を作ること自体は、対応している仏具店もあります。
ただし、ここでも大切なのは、お寺や宗派との関係です。

菩提寺がある場合は、俗名の位牌でよいのか確認しておいた方が安心です。
お寺によっては、位牌の考え方や扱いが異なることがあります。

また、浄土真宗では、位牌を中心に供養する考え方を取らない場合もあります。
宗派によって仏壇や法名軸、過去帳などの扱いが変わることもあります。

そのため、位牌についても、

「俗名で作れるか」
「どの形が正しいか」

だけでなく、

「自分の家の宗派ではどう考えるのか」
「お寺に相談した方がよいのか」

を確認することが大切です。

仏具店で作れることと、お寺の考え方に合うことは、同じではありません。

ここも分けて考えましょう。

俗名でお墓に入れたい場合も、先に確認する

「お墓にも戒名ではなく、俗名で入りたい」

この希望もあります。

生前に使っていた名前でお墓に刻みたい。
家族が見たときに、すぐに故人を思い出せる名前にしたい。
知らない名前ではなく、呼び慣れた名前で手を合わせたい。

この気持ちは自然です。

ただし、お墓に名前を刻む場合も、納骨先のルールを確認する必要があります。

公営霊園や民間霊園では、俗名での彫刻に対応しやすい場合があります。
一方で、寺院墓地の場合は、そのお寺の考え方が関わることがあります。

特に、先祖代々のお墓に入る場合は、親族との関係も出てきます。

「うちの家は代々戒名を刻んできた」
「急に俗名だけにするのはどうなのか」
「お寺には相談したのか」

といった話になる可能性もあります。

お墓は、故人だけのものではありません。
家族や親族、先祖とのつながりもある場所です。

だから、俗名でお墓に入りたい場合は、

・納骨先に確認する
・菩提寺があるなら相談する
・親族にも必要に応じて説明する
・今後、誰がそのお墓を守るのか考える

このあたりを整理しておくと安心です。

葬儀社の現場では、ここを確認します

戒名なし・俗名で葬儀をしたいと相談された場合、葬儀社としては、ただ「できます」と答えるだけでは不十分です。

現場では、次のような点を確認します。

・菩提寺はあるか
・お墓はどこにあるか
・納骨先は寺院墓地か、宗教不問の霊園か
・お寺に読経をお願いしたいのか
・戒名をつけたくない理由は何か
・費用面の不安なのか、故人らしさを大切にしたいのか
・親族に説明が必要か
・今後の法要をどう考えているか
・位牌や仏壇をどうする予定か
・故人本人の希望はあったのか

この確認をする理由は、家族の希望を否定するためではありません。

後から困らないようにするためです。

葬儀の相談では、どうしても目の前のことに意識が向きます。

通夜をするのか。
告別式をするのか。
火葬の日程はいつか。
お寺は呼ぶのか。
費用はいくらか。

もちろん、これらも大切です。

でも、戒名や俗名の話は、葬儀当日だけで終わりません。

納骨。
法要。
お墓。
親族との関係。
仏壇や位牌。

そこまでつながります。

だからこそ、戒名なしで進める場合は、少し先まで見ておくことが大切です。

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戒名なし・俗名での葬儀を考えている場合は、早めに全体像を確認しておくと安心です。

特に、菩提寺がない場合や、お寺を呼ぶか迷っている場合は、葬儀の形・読経の有無・納骨先まで含めて整理しておく必要があります。

家族葬や一日葬など、どの形が合うのかを知りたい方は、資料請求や相談を使って、費用や流れを先に確認しておくのもひとつの方法です。

家族に合う葬儀の形を確認する

戒名をつけないことは、供養しないことではない

ここは、読者に安心してもらいたい部分です。

戒名をつけないと、供養にならない。
俗名で送るのは、故人に失礼なのではないか。

そう不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、戒名をつけないことと、故人を大切に思っていないことは違います。

供養の形は、ひとつではありません。

お経をあげてもらうこと。
手を合わせること。
故人の好きだった花を飾ること。
思い出を家族で話すこと。
命日やお盆に思い出すこと。
エンディングノートに残された言葉を読み返すこと。

それらも、家族にとって大切な供養です。

ただし、仏式としてお寺にお願いする場合は、その宗教の考え方を尊重する必要があります。

つまり、

戒名なしでも供養の気持ちは持てる。
でも、仏式で行うなら、お寺の考え方も確認する。

この両方を大切にするのが、後悔しにくい考え方です。

戒名をつけるかどうかは、正解を急いで出すものではありません。

故人をどう覚えていたいのか。
家族はどんな形で手を合わせたいのか。
お寺やお墓との関係をどう考えるのか。

その整理の中で決めていけばよいと思います。

故人の希望や家族への伝え方を考えたい方は、終活とは?何をする?何歳から?何から始めるかをやさしく解説も参考になります。

よくある質問

戒名なしでも葬儀はできますか?

戒名なしで葬儀をすること自体は可能です。

葬儀社としては、俗名で式を整えることができます。
遺影の表示、式場案内、会葬礼状、喪主挨拶なども、俗名で進めることはできます。

ただし、お寺を呼ぶ場合は別です。

お寺が戒名なしで読経を引き受けてくれるか。
菩提寺が戒名なしを認めるか。
納骨先が俗名での納骨に対応しているか。

これは、それぞれ確認が必要です。

「葬儀ができるか」だけでなく、「その後の納骨や法要で困らないか」まで見ておきましょう。

戒名なしでもお寺に来てもらえますか?

お寺によります。

戒名なしでも読経に対応してくれるお寺もあれば、仏式の葬儀として行う以上、戒名や法名が必要だと考えるお寺もあります。

特に菩提寺がある場合は、必ず先に相談してください。

「戒名はいらないけれど、お経だけお願いしたい」と家族が思っていても、お寺側からすると違和感がある場合があります。

お経は、単なる演出ではありません。
仏式の葬儀として故人を送るための宗教儀礼です。

だからこそ、戒名なしで読経をお願いしたい場合は、最初から正直に伝えることが大切です。

俗名で位牌を作ることはできますか?

俗名で位牌を作ること自体は可能です。

ただし、仏式の供養として位牌を用意する場合は、宗派やお寺の考え方も関わります。

菩提寺がある場合は、俗名の位牌でよいのか確認しておくと安心です。

また、宗派によっては位牌の扱いそのものが異なります。
浄土真宗では、位牌を中心に供養する考え方を取らない場合もあります。

仏具店で作れることと、自分の家の宗派やお寺の考え方に合っていることは、同じではありません。

迷う場合は、葬儀社や菩提寺に確認しましょう。

俗名でお墓に入ることはできますか?

納骨先によります。

公営霊園や民間霊園、宗教不問の納骨先であれば、俗名で進めやすい場合があります。

一方で、寺院墓地の場合は注意が必要です。

寺院墓地は、お寺との関係の中でお墓を守っている場合があります。
そのため、戒名や法名の有無、墓石への彫刻、今後の法要について、お寺の考え方が関わることがあります。

特に先祖代々のお墓に入る場合は、家族だけで決めない方が安全です。

納骨先、お寺、親族との関係を確認してから進めましょう。

戒名をつけないと成仏できないのですか?

この問いは、とても繊細です。

宗派やお寺によって考え方は異なります。
そのため、ここで一律に「大丈夫です」「必要です」と言い切ることはできません。

ただ、ひとつ言えるのは、戒名をつけるかどうかは、単なる手続きや費用の問題ではないということです。

戒名には、仏教の教えの中で故人を受け止める意味があります。
一方で、俗名で送りたいという気持ちにも、家族が呼び続けてきた名前を大切にしたいという思いがあります。

不安がある場合は、自分たちだけで抱え込まず、お寺に相談するのが一番安心です。

「戒名をつけないとどうなるのか」
「俗名で供養してもよいのか」
「今後の法要や納骨に影響があるのか」

気になることは、遠慮せず確認しておきましょう。

戒名なしなら無宗教葬にした方がよいですか?

必ずしもそうとは限りません。

戒名はいらないけれど、お経はあげてほしい。
焼香をして、静かに手を合わせる時間はほしい。
親族の手前、仏式に近い形で送りたい。

このような気持ちがあるなら、お寺に相談したうえで、仏式に近い形を検討する余地はあります。

一方で、

「宗教儀礼にはこだわらない」
「故人らしい自由な形で見送りたい」
「お経や戒名より、家族の言葉や思い出を大切にしたい」

という場合は、無宗教葬が合うこともあります。

大切なのは、戒名の有無だけで葬儀の形を決めないことです。

お寺を呼びたいのか。
お経が必要なのか。
焼香をしたいのか。
故人らしい自由な式にしたいのか。

そこを整理してから考えると、後悔しにくくなります。

まとめ

戒名なし・俗名で葬儀をすること自体は可能です。

生前に使っていた名前で送りたい。
家族が呼び続けてきた名前で手を合わせたい。
知らない名前ではなく、その人らしい名前で覚えていたい。

その気持ちは、決して冷たいものではありません。

俗名には、家族の記憶が残っています。
その人が生きてきた時間が残っています。

一方で、戒名や法名には、仏教の教えの中で故人を受け止める意味があります。

だから、戒名をつけるか、つけないかは、簡単に「必要」「不要」だけで決めない方がよいです。

特に、お寺を呼びたい場合。
菩提寺がある場合。
寺院墓地に納骨する予定がある場合。
今後も法要をお願いする可能性がある場合。

このようなときは、必ず事前に確認しておきましょう。

「戒名はいらないけれど、お経はあげてほしい」

この気持ちは、人として自然なものです。
けれど、お寺側から見れば、「戒名なしでなぜ仏式葬儀をするのか」という疑問が出ることもあります。

家族の気持ちだけで進めるのではなく、お寺の考え方も尊重する。
宗教上の意味だけで押し切るのではなく、家族が故人をどう覚えていたいのかも大切にする。

その両方を見ながら決めることが、後悔しにくいお葬式につながります。

お葬式は、正解を選ぶ場ではありません。
故人をどう送り、残された家族がこれからどう手を合わせていくのかを考える時間です。

戒名で送るのか。
俗名で送るのか。
お寺を呼ぶのか。
無宗教で送るのか。

迷ったときは、「費用」だけでなく、「納骨先」「お寺との関係」「親族への説明」「これからの供養」まで含めて考えてみてください。

そのうえで納得して選んだ形なら、それはそのご家族にとって大切なお別れの形になるはずです。

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