「どれくらいかかるの?」は、いちばん不安になりやすいところ。
ここでは費用の見方(内訳の考え方)をやさしく整理し、追加が出やすい場面や支払いの実務まで、現場目線でまとめます。数字はあくまで目安のレンジとして受け止めてくださいね。
費用の全体像:3つに分けると整理しやすい
①式一式(基本セット)/②飲食・返礼/③お布施
この3分けで考えると、見積書がぐっと読みやすくなります。
式一式(基本セット)
祭壇・棺・骨壺・遺影・式場使用・人件・搬送(寝台車/霊柩車)など。
ポイント:プラン名で含有範囲が変わります(式場使用時間、車輌距離、スタッフ人員の上限などは要確認)。
飲食・返礼
通夜振る舞い・精進落とし・会葬返礼品・香典返しなど。
ポイント:人数×単価で増減。人数が決まらない時は仮置きでもOK(後で精算できます)。
お布施
読経・戒名(法名)・お車代・御膳料など。
ポイント:宗派・地域・お寺とのご関係で幅があります。事前の目安確認が安心です。
“式一式”と“総額”は別物:数字がブレる理由
「◯◯万円プラン」は式一式(基本セット)だけの表示が多く、飲食・返礼やお布施は別計算のことがよくあります。
“◯◯万円プラン”は嘘ではない
表示価格は嘘ではありません。標準条件がそろえばその価格で可能です。
違いが出るのは**「含む/含まない」の線引きと超過条件**から。
- 含む例:棺・骨壺・祭壇・基本人員・所定距離までの搬送 など
- 追加になりがち:距離超過、安置日数の増加、夜間対応、会食/返礼、お布施 など
見積もりを揃えるコツ
前提条件(人数/日数(安置ふくむ)/搬送距離/宗教儀礼の有無/式場使用時間/超過単価)を最初に明示して比べましょう。
よく増える項目の相場感(レンジでOK)
※地域・季節・式場規定で変動します。目安としてお読みください。
安置料
- 目安:1日あたり 数千円〜2万円程度(共同室/個室/冷蔵安置で幅)
- 自宅安置は施設料不要でも、ドライアイスは必要です。
ドライアイス
- 基本は季節によらず“1日1回”の補充で運用します。
- 量の目安:1回あたり10kg前後。長期安置・ご遺体の状態・保管環境によっては例外も。
- 料金イメージ:1回あたり 数千円〜1万円前後(式場規定による)
ひと言メモ:費用は日数×回数(=日割り)で積み上がります。
花代・会食
- 花代は段数やボリュームで上下。会食は人数×単価。欠席分の扱いは事前取り決めが安心。
車輌距離
- 寝台車・霊柩車は「◯kmまで含む/超過は1kmいくら」という設定が一般的。搬送回数も確認を。
火葬待ちで膨らむ仕組み
都市部などで火葬枠が混み合うと、安置日数+ドライアイス回数が日割りで積み上がるため、総額が上がりやすくなります。
長引きそうなときの対策
- 火葬枠を早めに確保(式場・火葬場の空き状況を確認)
- 会食は後日の法要に振り替え(当日の負担・費用を軽減)
支払いの実務:いつ・どう払う?
タイミング
- 前金なし〜一部前受け、または当日〜後日精算など、運用は葬儀社ごとに異なります。
- 会食や返礼は後精算になるケースもあります。
分割・後払い・カード・ローン
- カード払いや分割ができないケースも多いのが実情です。
- 可否は葬儀社ごと・費目ごとに異なります(例:式場費はカード可でも、お布施は現金が原則など)。
- 使う予定がある場合は、どの費目に使えるか/限度額/審査の有無を事前確認しましょう。
香典でどこまで相殺できる?
- 受付運用次第。当日返し(即日返し)か、後日香典返しにするかでキャッシュフローが変わります。
法務・税務の“よくある悩み”(やさしく一般論)
誰が払う?喪主・家族の分担
一般には喪主、施主(または相続人)が主体ですが、負担割合は話し合いの合意が大切。
兄弟間のトラブルを避けるには、概算と役割を早めに共有しましょう。
口座凍結と費用立替
故人名義口座は原則凍結。払戻し手続き(金融機関の指定書式)や、ゆうちょの払戻依頼書で対応する流れがあります。
必要書類・手順は金融機関で確認してください。
控除や相続税の扱い
葬儀費用の扱いにはルールや例外があります。最終判断は所轄の税務署・市区町村窓口・専門家へ。
注意:本記事は一般的な情報の提供です。個別事情は専門家へご相談ください。
ケース別のざっくり目安(計算の“型”つき)
家族葬(約30名)の考え方
- 〔式一式〕:会館の規模や祭壇等で増減
- 〔飲食・返礼〕:人数 × 単価(返礼は当日返し or 後日香典返し)
- 〔お布施〕:依頼内容で変動(読経・戒名 等)
一日葬(約20名)の考え方
- 〔式一式〕:通夜を省くぶん抑えやすいが、祭壇や会館グレードで上下
- 〔飲食・返礼〕:最小限にする設計が多い(当日返し中心)
- 〔お布施〕:読経の有無・内容で変動
直葬(約10名)の考え方
- 〔式一式(火葬式)〕:式典設備を抑えるぶん軽め
- 〔飲食・返礼〕:なし〜最小限
- 〔お布施〕:読経を依頼しないケースも
計算の型
〔総額〕=〔式一式〕+〔人数 × 単価(飲食・返礼)〕+〔お布施〕+〔安置日数 × 日割り(安置料+ドライアイスは通常1日1回)〕+〔距離超過などの条件加算〕
補足:旅行に例えると「北海道いくら?」ではなく、「何泊・どの宿・どの移動手段・食事はどの程度?」を決めるほど正確になる、という話です。数字は“目安”ではなく“設計の変数”と伝えます
併設したい注記(読者の誤解予防)
- 地域差・会館規約・宗教儀礼・時期・供花や車両の取り方で大きく変動します。
- 必ず見積書で最終確認を。この記事の計算式は「考え方」をお伝えするものです。
よくある質問(簡潔Q&A)
広告の◯◯万円プランで足りますか?
条件が合えば可能です。表示価格は標準条件での目安。含む/含まないと超過単価(距離・日数・時間外など)を事前に確認しましょう。
安置は自宅だと安くなりますか?
施設安置料は不要でも、ドライアイスは必要です。訪問対応の可否や回数も確認を。
火葬待ちでいくら増えますか?
安置料(〜2万円程度の幅)と、ドライアイス(基本“1日1回”1万円程度)が日割りで加算されます。枠状況の早期確認が対策になります。
カード払いや分割は使えますか?
使えないケースも多いです。利用可否は葬儀社や費目で異なるため、どの費目に使えるか/限度額/審査の有無を事前に確認してください。お布施は現金が基本です。
まとめ:数字より先に、「どんな時間にするか」を決めよう
費用は式一式/飲食返礼/お布施に分けて考えると、全体が見えてきます。
追加が出やすいところ(安置・ドライアイス・距離超過)を押さえ、支払いの動線も早めに確認。
なによりも、どんなお別れにしたいかを先に言葉にできると、数字の不安は小さくなります。焦らず、一緒に整えていきましょう。
関連ページ
- 通夜と告別式の違い
- 一日葬とは?流れ・費用・注意点
- 直葬・火葬式の特徴と向き不向き
- 香典の表書きと相場まとめ
- お布施の金額目安と渡し方(準備中)
- もしもの時、まず読むページ
コメント