病院から紹介された葬儀社は断れる?搬送だけ頼む・搬送後に変更する手順

病院から葬儀社の紹介を受け、家族で依頼先を検討する場面のイメージイラスト
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病院で家族が亡くなったあと、職員からこう聞かれることがあります。

「葬儀社はお決まりですか?」

「まだでしたら、ご紹介できます」

この言葉を聞くと、「病院から紹介された会社へ頼まなければいけないのかな」と感じる方もいると思います。

ただ、私が葬儀の電話対応や事前相談に関わる中での肌感覚では、最近は病院側が葬儀社を自動的に決めるように進めるというより、まず家族の希望を確認し、決まっていなければ紹介を提案する形が多いように感じます。

もちろん、病院ごとに対応は違います。これは全国一律の統計ではなく、あくまで一級葬祭ディレクターとして現場に接してきた私の実感です。

大切なのは、病院の言い方が強引かどうかだけではありません。

穏やかに案内されても、家族は悲しみと時間の制約の中で「今ここで決めなければ」と受け取りやすい。

そこでこの記事では、病院から紹介された葬儀社を断ってもよいのか、搬送だけ依頼できるのか、すでに搬送したあとでも変更を検討できるのかを、現場目線で整理します。

今、病院で葬儀社を聞かれている方へ

  • 依頼先がある
    「決めている葬儀社へ、こちらから連絡します」
  • まだ比較したい
    「搬送まで、どのくらい時間がありますか?」
  • 紹介先へ搬送だけ頼みたい
    「搬送・安置だけの費用と、別会社へ変更する場合の条件を教えてください」
  1. この記事でわかること
  2. 3行まとめ
  3. 結論|病院から紹介された葬儀社は「候補の一社」
    1. 最近は「決まっていなければ紹介できます」という案内が多い
  4. 「紹介」「搬送依頼」「葬儀の契約」を分けて考える
  5. 病院で最初にどう動く?状況別の判断
    1. すでに葬儀社が決まっている場合
    2. 葬儀社が決まっていない場合
  6. 搬送を頼む前に確認したい3つのこと
    1. どこへ搬送・安置されるのか
    2. 搬送と安置だけなら、いくらかかるのか
    3. 葬儀を別会社へ頼む場合の条件
  7. 搬送だけ依頼することはできる?
  8. 搬送後に葬儀社を変更する4つの手順
    1. 新しく依頼したい葬儀社へ先に相談する
    2. 現在までに発生した費用を確認する
    3. 両社で移送日時と引き継ぎを調整する
    4. 現在の葬儀社へ正式に伝える
  9. 契約後の変更・キャンセル料はどう考える?
  10. 葬儀社を変更しない方がよい場合もある
  11. 急いで決める場面ほど、見積もりの「中身」を確認する
  12. 現場で感じるのは「強く勧められたか」だけが問題ではないこと
  13. 迷ったときの簡易判断表
  14. よくある質問
    1. 病院から紹介された葬儀社を断ると失礼ですか?
    2. 紹介を受けただけで料金は発生しますか?
    3. 搬送を頼んだら、その会社で葬儀をしなければいけませんか?
    4. 搬送後、いつまでなら葬儀社を変更できますか?
  15. まとめ|紹介を受けても、依頼範囲は家族が確認できる
  16. 参考資料

この記事でわかること

  • 病院から紹介された葬儀社へ必ず依頼する必要があるのか
  • 「紹介」「搬送依頼」「葬儀の契約」の違い
  • 搬送だけ頼むときに確認したい費用と条件
  • 搬送後に葬儀社を変更するときの手順
  • 葬儀社を変更しない方がよい場合
  • 病院・葬儀社へそのまま使える伝え方

3行まとめ

  • 病院からの紹介は選択肢であり、紹介された時点で葬儀社が決定するわけではありません。
  • 搬送を頼む前に、安置場所・搬送だけの場合の費用・別会社へ変更するときの条件を確認します。
  • 搬送後に変更したい場合は、先に新しい葬儀社と受け入れ先を決めてから、現在の葬儀社と費用・移送日時を調整しましょう。
病院から紹介された葬儀社は候補の一社で、搬送後も変更を検討できることを説明する4コマ

結論|病院から紹介された葬儀社は「候補の一社」

病院から紹介された葬儀社へ、必ず葬儀まで依頼しなければならないわけではありません。

すでに家族で決めた葬儀社があるなら、その会社へ連絡して搬送を依頼できます。

まだ決まっていなければ、病院から紹介を受けることもできますし、自分たちで近隣の葬儀社を探すこともできます。

紹介された葬儀社が悪いという話でもありません。病院や地域の事情を理解し、迅速に迎えへ来てくれることは、家族にとって大きな助けになる場合があります。

ただし、「病院が紹介したから安心」「搬送してもらったから葬儀も頼まなければ」と自動的に考える必要はありません。

最近は「決まっていなければ紹介できます」という案内が多い

以前より、少なくとも私が接する範囲では、病院側が一方的に葬儀社を決めるような案内は少なくなっている印象があります。

多いのは、次のような流れです。

「葬儀社はお決まりですか?」

「決まっていないなら、こちらから紹介することもできます」

この案内自体は、家族を縛るものではありません。病院の霊安室は長期間の安置を前提にした場所ではないことが多く、搬送の見通しを確認する必要があるためです。

ただ、家族側は落ち着いて説明を聞ける状態とは限りません。選択肢として言われた言葉を、決定事項のように受け取ってしまうことがあります。

「紹介」「搬送依頼」「葬儀の契約」を分けて考える

病院で慌てないために、次の3段階を分けて考えてください。

段階何が決まった状態か確認したいこと
病院から紹介された候補の葬儀社を教えてもらった利用するかは家族が判断する
搬送を依頼した病院から安置先までの搬送などを頼んだ搬送料・安置料・依頼範囲
葬儀まで依頼した葬儀内容や費用、契約条件に合意して進める見積明細・追加費用・キャンセル条件

紹介されただけなら、まだ候補の一社です。

一方、搬送を依頼すれば、その搬送や安置に関する費用が発生する可能性があります。葬儀まで頼むかどうかとは別に、すでに提供されたサービスの精算は必要です。

「紹介された時点では決まっていない。でも搬送を頼めば、何も発生していないわけでもない」。この中間地点を理解しておくと整理しやすくなります。

病院で最初にどう動く?状況別の判断

すでに葬儀社が決まっている場合

病院へ、次のように伝えれば大丈夫です。

「依頼する葬儀社が決まっています。こちらから連絡して、迎えの時間がわかり次第お伝えします」

その後、決めている葬儀社へ電話し、病院名・病棟・故人の名前・連絡先・希望する安置先を伝えます。

亡くなった直後の全体の動きは、もしも親や身内が亡くなったら|最初に読むページでも整理しています。

葬儀社が決まっていない場合

まず病院へ、「搬送までにどの程度の時間があるか」を確認してください。

病院によって霊安室の状況や対応は違います。「普通は何時間」と自己判断せず、その場で確認する方が確実です。

少し検討できるなら、家族で優先したい条件を2つほど決め、候補の葬儀社へ同じ質問をします。

  • 自宅と葬儀会館のどちらへ安置したいか
  • 火葬式・一日葬・家族葬などの希望があるか
  • 費用、面会、場所のうち何を優先したいか

時間がない場合も、完璧な葬儀社選びをその場で終える必要はありません。まず搬送と安置の条件を確認し、どこまで依頼するのかを区切って考えます。

搬送を頼む前に確認したい3つのこと

どこへ搬送・安置されるのか

「葬儀会館へ搬送します」と言われても、式をする会館の個室に安置されるとは限りません。

別の安置施設、面会に予約が必要な部屋、家族が付き添えない場所へ案内される場合もあります。

  • 実際の安置場所の住所
  • 面会できる時間と予約の有無
  • 付き添いや宿泊ができるか
  • 希望会館が空いたときに再搬送するのか

安置場所による違いは、遺体の安置場所はどこ?自宅・葬儀会館・安置施設の違いで詳しく解説しています。

搬送と安置だけなら、いくらかかるのか

「搬送だけ」と伝えても、費用が搬送料だけとは限りません。

  • 寝台車の基本料金と距離加算
  • 深夜・早朝の追加料金
  • 安置施設の使用料
  • ドライアイスや保冷処置
  • シーツ、消耗品、処置料
  • 別の葬儀社へ移すときの再搬送料

何が必ず必要になるかは、安置先やご遺体の状態、日程、会社によって変わります。だからこそ、項目と単価を聞いておくことが大切です。

葬儀を別会社へ頼む場合の条件

一番聞きにくい質問ですが、あとで困りにくくする質問でもあります。

「搬送と安置だけお願いすることはできますか。葬儀を別の会社へ依頼する場合、今日までにかかる費用と、移送するときの費用を教えてください」

この質問に対して、金額や条件を具体的に説明してくれるかも判断材料です。

搬送だけ依頼することはできる?

搬送だけ、または搬送と一時安置まで対応している葬儀社はあります。

ただし、すべての葬儀社が同じ条件で受けているわけではありません。紹介された会社だから当然に「搬送だけ」が可能とも、無料で対応してもらえるとも限りません。

依頼前に、どこまでが今回の依頼なのかを言葉にしてください。

「今は葬儀社を決めきれていません。今回は病院からの搬送と安置までお願いし、その後に家族で検討する形でも大丈夫ですか?」

葬儀社側から見ても、依頼範囲が最初からわかっている方が、必要な説明と見積もりを出しやすくなります。

搬送後に葬儀社を変更する4つの手順

搬送後に見積もりや対応を確認し、「別の会社へ頼みたい」と思うこともあります。

変更を検討すること自体はできますが、先に現在の会社を断ってご遺体の行き先がなくなる状態は避けてください。

新しく依頼したい葬儀社へ先に相談する

現在の安置場所、希望する葬儀形式、日程、受け入れ希望を伝え、変更に対応できるか確認します。

新しい会社が決まっても、会館や安置室の空きがなければすぐ移せない場合があります。

現在までに発生した費用を確認する

現在の葬儀社へ、次の明細を確認します。

  • 病院からの搬送料
  • 安置料とドライアイス代
  • すでに使用・発注した物品やサービス
  • キャンセル料の規定
  • 別の安置先までの移送費

「一式」ではなく、何にいくらかかっているのかを書面でもらいましょう。

両社で移送日時と引き継ぎを調整する

ご遺体の移送は、新旧の葬儀社で受け渡し時間と場所を調整してもらう方が安全です。

死亡診断書などの書類、故人の衣類や預けた品、家族から伝えた宗教・菩提寺・日程の情報についても、どこまで引き継ぐか確認します。

現在の葬儀社へ正式に伝える

相手を責める必要はありません。結論と確認事項を簡潔に伝えます。

「搬送と安置までご対応いただき、ありがとうございます。家族で検討した結果、葬儀は別の会社へ依頼することにしました。現在までに発生した費用の明細と、移送可能な日時、引き継ぎに必要な手続きを教えてください」

電話だけで話が曖昧になる場合は、メールや書面でも内容を残しておくと確認しやすくなります。

契約後の変更・キャンセル料はどう考える?

「契約書にサインしていないから無料」「葬儀前だから何も払わなくてよい」とは限りません。

搬送、安置、ドライアイス、物品の手配など、すでに依頼して提供されたサービスには費用が発生します。葬儀の準備が進んでいれば、手配済みの物品や人員に関する費用が生じることもあります。

一方、理由がわからない高額なキャンセル料を、その場で納得して支払う必要もありません。

消費者庁の案内では、キャンセル料のうち、契約解除に伴う「平均的な損害」を超える部分についての条項は無効となる考え方が示されています。ただし、実際にどこまでが該当するかは契約内容や進行状況によって異なります。

まず明細と契約条件を確認し、説明に納得できない場合は、消費者ホットライン「188」へ相談してください。

葬儀社を変更しない方がよい場合もある

葬儀社を変更できる可能性があることと、変更した方がよいことは別です。

次のような場合は、まず現在の担当者や責任者へ相談した方が負担を抑えられることがあります。

  • 説明の行き違いが一つあるだけで、修正できそう
  • 葬儀の日程が迫り、会館や火葬場の調整が進んでいる
  • 新しい葬儀社と安置先がまだ決まっていない
  • 再搬送の費用や家族の負担が、変更する利点を上回る
  • 担当者の変更や責任者の同席で解決できそう

大切なのは、紹介された葬儀社を疑うことでも、必ず相見積もりを取ることでもありません。

家族が何を依頼し、何に費用がかかり、どの時点で葬儀社を決めたのかを理解できていることです。

急いで決める場面ほど、見積もりの「中身」を確認する

国民生活センターが2026年6月に公表した資料では、2025年度に登録された葬儀サービスの相談は917件で、そのうち「高価格・料金」に関する相談割合は52.6%でした。

これは葬儀利用者全体の半数がトラブルになったという意味ではありません。消費生活センター等へ寄せられた相談の内訳です。

同センターは、希望する葬儀の情報を集めること、打ち合わせを複数人で行うこと、見積書を受け取り明細を確認することを勧めています。

費用の構成を先に知りたい方は、葬儀費用の内訳|総額が変わる理由と見積もりの確認項目も参考にしてください。

候補を同じ条件で比べたい方へ
登録不要で使える比較表です。急いでいる場合は、1社へ聞く質問表としても利用できます。

葬儀社比較チェックシート|3社の見積もりを同じ条件で比べる無料PDF
葬儀社2〜3社の見積もりを、搬送・安置・面会・追加費用・想定総額・契約条件まで同じ条件で比べる無料PDF。使い方と見落としやすい確認点を解説します。

現場で感じるのは「強く勧められたか」だけが問題ではないこと

最近は、病院側も家族の意向を確認しながら、必要なときだけ紹介する形が増えているように感じます。

「この葬儀社にしてください」ではなく、「お決まりですか。決まっていなければ紹介できます」という案内です。

その意味では、病院が強制的に葬儀社を決めるというイメージだけで記事を書くと、現在の現場とは少しずれると思います。

一方で、家族にとっては、言い方が柔らかいから判断が簡単になるわけではありません。

身近な人を亡くした直後に、知らない会社、安置場所、費用、葬儀形式を一度に考えます。選択肢としての紹介でも、「今決めるしかない」と感じるのは自然なことです。

だからこそ、覚えておきたいのは次の3つです。

  • 紹介は命令ではない
  • 搬送依頼と葬儀全体の依頼は、範囲を分けて確認できる
  • 一度搬送しても、条件を整理して変更を検討できる場合がある

全部を完璧に決める必要はありません。まず「どこへ運ぶか」「今日いくらかかるか」「葬儀まで頼むのか」を一つずつ確認してください。

迷ったときの簡易判断表

現在の状況先にすること次に確認すること
依頼先が決まっているその葬儀社へ搬送を依頼迎えの時間と安置先
未定で少し検討できる病院へ時間を確認し、候補へ同じ条件で相談安置・面会・想定総額
急いで搬送が必要紹介先を含め、搬送と安置の範囲を確認葬儀を別会社へ頼む場合の費用
搬送後に変更したい新しい葬儀社と受け入れ先を先に確保現在までの明細と移送日時

葬儀社そのものを比較するときは、葬儀社の選び方|後悔しない比較ポイントをご覧ください。

よくある質問

病院から紹介された葬儀社を断ると失礼ですか?

失礼にはあたりません。すでに依頼先がある場合は、「こちらで決めている葬儀社へ連絡します」と伝えれば十分です。

未定でも、自分たちで探したい場合は、その意思を伝えて構いません。ただし、搬送までにどの程度の時間があるかは病院へ確認しましょう。

紹介を受けただけで料金は発生しますか?

会社名や連絡先を紹介された段階と、実際に搬送や安置を依頼した段階は別です。

搬送車を手配し、サービスが始まれば費用が発生する可能性があります。電話するときに、どこからが有料になるか確認してください。

搬送を頼んだら、その会社で葬儀をしなければいけませんか?

搬送だけ、または一時安置までの対応が可能な会社はありますが、条件は会社によって違います。

依頼前に「葬儀を別会社へ頼む場合の費用」を確認し、搬送と葬儀の依頼範囲を明確にしてください。

搬送後、いつまでなら葬儀社を変更できますか?

一律の期限はありません。葬儀の準備が進むほど、手配済みの物品や人員、会館、再搬送などの調整が増えます。

違和感があるなら早めに新しい葬儀社へ相談し、現在の進行状況と費用を確認してください。

まとめ|紹介を受けても、依頼範囲は家族が確認できる

病院から紹介された葬儀社は、家族にとって一つの候補です。

最近は「葬儀社はお決まりですか。未定なら紹介できます」と、家族の希望を確かめながら案内される場面が多いと感じます。

紹介してもらうこと自体に問題はありません。迅速に搬送してもらえる安心もあります。

ただし、紹介、搬送、葬儀の契約は、同じ一つの決定ではありません。

紹介は命令ではない。搬送を頼むなら費用と範囲を確認する。搬送後に変更するなら、先に新しい受け入れ先を決める。

この順番を覚えておくだけでも、突然の場面で判断しやすくなります。

まず病院や葬儀社へ、次の一言を伝えてみてください。

「搬送と安置はどこまでの依頼になりますか。葬儀までお願いするかは、見積もりを確認してから決めても大丈夫ですか?」

墓石や祭壇を決める前に、まず依頼の範囲を確認する。最初の一歩は、そこからで大丈夫です。

参考資料

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