「お墓を買わない」ってどういうこと?
最近、こんな相談が増えています。
「子どもに迷惑をかけたくないんです」
「自分の代で墓じまいしたいと思っていて…」
「田舎にお墓があるけど、遠くて通えなくて」
かつては「お墓を買って守る」のが当たり前のように感じられていましたが、
いまは「お墓を買わない」「継がせない」という選択も、
ごく自然なものになってきました。
この記事では、現役の葬祭ディレクターである私が、
実際の現場でよく聞かれる声をもとに、
「永代供養」「樹木葬」「納骨堂」など、
お墓を買わない供養のかたちをやさしくご紹介していきます。
増えている「お墓を買わない」という選択
「お墓の購入=家を継ぐ人がいてこそ」という時代が長く続きました。
でも現代は、家族のかたちやライフスタイルが多様化し、
次のような理由で「お墓を買わない」方が増えています。
- 子どもがいない、あるいは墓守を頼みたくない
- 地元を離れて暮らしていて通えない
- 宗教にこだわりがない
- 経済的な負担を減らしたい
- いまあるお墓を「墓じまい」したい
私の経験でも、「墓じまいを考えていて、新しい供養方法を探している」という方が増えています。
それは年配の方だけでなく、30〜40代の方からの相談も多いんです。
3つの選択肢──永代供養・樹木葬・納骨堂とは?
それぞれの供養方法について、ポイントを整理しながら紹介します。
永代供養──家族に代わって、寺院や霊園が供養してくれる
こんな人におすすめ:
- 子どもに墓守を頼みたくない
- 身寄りがなく、将来が心配
- 宗教や形式にあまりこだわりがない
特徴:
- 一度納めれば、その後の管理は霊園や寺院がしてくれる
- 合祀(ごうし/他の人と一緒に)になるケースが多い
- 回忌法要をしてくれるプランもある
費用感:
5万円〜30万円程度(地域・寺院による)
実際の声:
「何かあっても安心できるように…という気持ちで選びました。将来の不安が少し軽くなりました。」
樹木葬──自然に還る、新しい供養のかたち
こんな人におすすめ:
- 自然が好きな方
- 明るい雰囲気の場所を希望
- 無宗教でも気にならない
特徴:
- 木や草花の下に納骨
- 墓石ではなく、プレートや木の根元に埋葬されるスタイル
- 一般の霊園の一角や、専用の樹木葬墓地がある
費用感:
10万円〜50万円程度(場所・契約年数による)
実際の声:
「親が『桜の下に眠りたい』って言っていて…。本人の希望を叶えられてよかったです。」
納骨堂──室内型のお墓。都会に増えているスタイル
こんな人におすすめ:
- 交通の便がいい場所を希望
- お参りしやすい場所がいい
- 形式的なお墓にこだわらない
特徴:
- 屋内にある個別の納骨スペース
- 一定期間個別で預かり、その後合祀されることも
- カードキーや自動参拝など、ハイテク施設もある
費用感:
30万円〜100万円前後
実際の声:
「駅近くでお参りしやすく、掃除の心配もなくて助かります。」
ざっくり比較!3つの制度・形式のちがい
以下のように違いを整理してみました。
🪦 永代供養
- 管理:寺院・霊園が永続管理
- 形式:多くが合祀(合同)
- 費用:5〜30万円
- 向いている人:身寄りがない、継がせたくない人
- 注意点:一度合祀すると遺骨の返還不可
🌳 樹木葬
- 管理:墓地によって異なる
- 形式:個別・合祀選べる
- 費用:10〜50万円
- 向いている人:自然志向、明るい雰囲気が好きな人
- 注意点:宗教不問でも、墓地により宗派制限があることも
🏢 納骨堂
- 管理:施設が保守・運営
- 形式:個別→期間後に合祀
- 費用:30〜100万円
- 向いている人:アクセス重視、都市部に住んでいる人
- 注意点:維持管理費や更新の確認を忘れずに
「どんな風に見送られたいか」を考えてみる
どの形式も、選ぶ際に大切なのは「費用」や「立地」だけではありません。
どんな場所で眠りたいか?
誰に手を合わせてほしいか?
家族はどんな思いで残されるのか?
これらを少しずつ考えることで、
「お墓を買わない」という選択も、
心がホッとするものに変わっていきます。
まとめ:あなたに合った“供養のかたち”を見つけよう
お墓を持つ・持たない、どちらが正解ということはありません。
ただ、知らないまま時間が過ぎてしまうと、
大切な人が困ってしまうこともあるのが現実です。
「お墓」=重たい話ではなく、
「自分らしい最後の居場所」として、
少しだけ考えてみませんか?
💡今日の一歩:「私、どうしてほしい?」を自分に問いかけてみることから始めてみてください。
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