「終活の話なんて、縁起でもない」──そう思っているのは、親だけじゃない
「うちの親はまだ元気だし、そんな話するのも悪い気がして…」
「“縁起でもない”って怒られそう」
「どう切り出せばいいかわからないから、ずっとそのまま」
…これ、珍しい悩みじゃありません。むしろ、そんな人ばっかりなんです。
私自身もそうでしたし、葬儀の現場で出会うご家族も、
「もっと早く話しておけばよかった」と悔やむ声を何度も耳にしてきました。
この記事でわかること
- 親に終活の話を切り出す最短ステップ
- 反応タイプ別の声かけテンプレ(拒否・先延ばし・照れ)
- 今日からできる最小の共有(連絡先・保険証・かかりつけ)
- 合意メモの作り方と、進め方のコツ
- よくある失敗と避けるNG表現
3行まとめ
- はじめは“お金の話”ではなく“迷子回避メモ”から。
- 切り出しは事実→目的→お願い(1つだけ)の順。
- 合意は紙1枚で見える化。完璧より仮運用で回す。
タイミングは、待ってても来ない
話す“きっかけ”が自然にやってくることって、実はなかなかありません。
「そのうち」「落ち着いたら」「もう少し年を取ってから」──その“うち”のまま時間だけが過ぎていくことも多いんです。
でも、何かが起きてからでは遅いこともあります。
だから私は、親が元気なうちにちいさな話題から始めてみることをおすすめしたいと思っています。
話しやすくなる、きっかけのヒント
話のきっかけは、意外と日常の中に転がっています。
- 芸能人の訃報を見たとき:「○○さん亡くなったらしいね…うちもどうなるんだろう」
- お盆や法事、帰省のタイミング:「この家、もしものときどうするん?」
- 自分の話を先に出す:「私も終活ちょっと考えてて、こんなんあるみたいよ」と軽く渡す
終活の話は、“死の話”じゃなく、“生きている今の話”。
だからこそ、気軽に話せる場面からで十分なんです。
私が親に使いたい「3つの話しかけ方」
- 「この前こんな話聞いてんけど…」
→ 他人事から入ると、構えられにくい - 「私が倒れたらさ〜、どこで看取ってほしいと思う?」
→ 自分の話から入ると、受け入れられやすい - 「これ、書けるときに書いてくれたら助かるかも」
→ エンディングノートを手渡すだけでもOK
ポイントは、“押しつけずに置いておく”こと。
気が向いたときに思い出してくれれば、それで十分です。
私も親にノートを渡そうと思っています
親が元気なうちは、「まだ大丈夫」と思ってしまいがちです。
でも、本当に“今”しか聞けないことってあるんですよね。
私は今度実家に帰ったとき、白紙のエンディングノートを、そっと渡してみようと思っています。
書かなくてもいい。ただ、「もし書けたら」でいいんです。
親の想いを、親のうちに残しておけたら
それはきっと、未来の自分や家族にとって、大きな支えになるはずです。
話す場合の最小準備メモ(あなた側)
- 親のフルネーム・生年月日(確認)
- かかりつけ(科・病院名・電話)
- 保険証などの保管場所
- 緊急連絡先(家族・近所)
- 使っている銀行・保険の“名前だけ”(残高は聞かない)
これをA4 1枚の下書きにして持参すると、話が早い。
小さく始めるチェック(今日やる3つ)
- かかりつけ病院・薬局の名前と電話
- 保険証・お薬手帳・印鑑の置き場所
- 緊急連絡先(家族・近所1人・かかりつけ)
ここまでで7割の不安が消える。資産や遺言は次の回に。
合意メモ(雛形・コピペOK)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| かかりつけ | (病院名・科・電話) |
| 保険証などの場所 | (例:食器棚上段・青ファイル) |
| 緊急連絡先 | (家族・近所) |
| 使っている金融機関 | (名前だけ/残高は書かない) |
| 連絡先の共有先 | (家族2人の電話・メール) |
| 見直し日 | (例:毎月1日 or 季節の変わり目) |
よくある反応と返し方
- 「縁起でもない」
→ 「じゃあ“安心メモ”って呼ぼう。連絡先だけだから5分で終わるよ。」 - 「心配するな、全部わかってる」
→ 「私がわかってないと、その時困るんだ。場所だけメモらせて。」 - 「お金の話はしない」
→ 「うん、金額は触れない。銀行の“名前だけ”でいい?」
避けるNG(揉めがちな地雷)
- 「もし死んだらどうするの?」(強すぎ)
- いきなり資産配分・相続の割合へ踏み込む
- 兄弟の前で公開尋問(1対1が基本)
- 書かせた後に勝手に写真を回す(共有ルールを先に)
伝えるのは“終わりの話”じゃない。迷子にならないための地図を一緒に描く話。
よくあるQ&A
Q. どこまで聞いていい?
A. 最初は連絡先・場所情報まで。金額や配分は別日に。
Q. 兄弟への共有は?
A. 写しを同時送付。誤解を防ぐため、更新時は全員同報。
Q. 何歳から?
A. 年齢より出来事トリガー(入院・免許返納・引越しなど)で。
おわりに
終活の話は、簡単な話ではありません。
でも、思っているよりも、やさしく始められる話でもあります。
「親と終活の話、できてないなぁ…」と思っている方へ。
もし次に帰省するタイミングがあるなら、
無理なく、さりげなく、気持ちを伝えてみてくださいね。
関連ページ
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