コロナで変わったお葬式のカタチと、変わらなかった大切なもの

あのとき突然始まったコロナ禍。
葬儀の現場でも、前例のない対応が求められ、日々が手探りの連続でした。

この記事では、コロナの影響でどうお葬式が変わったのか
そして、その中で私が見つけた「変わらなかったもの」について綴ります。

この記事でわかること

  • 5類化後の結論(通夜・葬儀・火葬・拾骨の扱い)
  • 納体袋・安置・遺品の現在の考え方
  • 火葬の24時間ルールと予約の注意
  • 誤解されやすい点(マスク/動線分離/拾骨)
  • 家族への連絡テンプレと、参列できない時の代替案

3行まとめ

  • いまは通夜・葬儀・火葬・拾骨を通常どおりに実施できる。会場の指示に従い、手指衛生を基本に。
  • 納体袋は原則不要(体液漏出の予防処置が前提。状況次第で使用)。
  • 火葬は原則:死後24時間以降。5類化後は「24時間以内に必ず火葬」ではない。

まず押さえる“いまの結論”

  • 位置づけの変更:新型コロナは2023年5月8日から5類感染症に。行政主導の一律制限から、個人と事業者の判断へ移行した。
  • ガイドラインの扱い:厚労省の「遺体取扱いガイドライン」は2024年5月10日付で廃止。ただし、実務の要点(適切な対策の下で通常取り扱い可)は踏襲されている。

人が「集まること」ができなくなった

式の参加人数が大幅に制限されました。

あのとき感染防止の観点から、式への参列者数に制限がかかるようになりました。
それまでのように、親族以外の参列やご近所、会社関係の方も呼べず、家族だけの葬儀が主流に。
この影響で、「家族葬」や「直葬」、「一日葬」などの小規模な形が一気に広まりました。

「大勢が集まること=良い葬儀」だった価値観が、大きく変わった瞬間でもありました。


お通夜を省略して「一日で見送る」

お通夜を行わず、1日で完結する「一日葬」が急増しました。

従来は“お通夜→告別式→火葬”の2日間が一般的でしたが、
コロナ禍では以下の理由で「お通夜を省いて1日で見送る」形式が選ばれるようになりました。

  • 参列者の感染リスクを減らすため
  • 遠方の親類が宿泊を避けられない事情
  • 式場や火葬場の稼働制限

💬 ご家族の声
「お通夜がなくて寂しかったけど、少人数で過ごせた分、家族だけの大切な時間になりました。」


ご遺族の「お別れの時間」が変わってしまった

ご遺体に触れられない・密を避ける制約がありました。

  • マスク越しの最後の対面
  • 式中も他の参列者と距離を取る
  • 面会時間の制限
  • 火葬場へ行ける人数制限

これらの制限により、「ちゃんとお別れできなかった」と感じるご遺族も多くいらっしゃいました。
式の形式ではなく、“心の区切り”が難しかった時期でもあります。

「触れることができない別れは、想像以上に虚しく悲しいものでした。」


それでも、想いは消えない

形は変わっても、“想い”の重みは変わらない。

少人数・短時間だからこそ見えてきたのは、
お棺にそっと置かれた手紙や写真、
静かに涙を流す手つき…
そのひとつひとつに、「その人らしい別れの形」が映し出されていました。


「形」は変わっても、「大切なもの」は変わらない

コロナ禍は、葬儀の“かたち”を一気に変えましたが、
「人を想い、見送る気持ち」だけは変わらなかった。

制限がある中でも、ご家族は知恵を絞り、できる限りの“その人らしさ”を形にしていました。
そして私たち葬儀人も、その想いに応えるために、日々工夫を重ねてきました。

どんな状況でも、どんな制約があっても、
“その人らしいお別れ”を一緒に考える――
それが、私たちにできる一番の仕事だと改めて感じています。

よくある誤解(いまはこう考える)

  • × 動線分離が必要不要(適切な対策のもと通常運用で可)。
  • × 納体袋は必須原則不要。漏出リスクが高い時のみ使用。
  • × 遺骨から感染するしない。拾骨は通常どおり。
  • × 24時間以内に火葬する決まり原則24時間“以降”(法律の基本ルールに復帰)。

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