※この記事は、葬儀屋(葬儀ディレクター・プランナーなど)の実際の仕事とその環境について解説します。
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1. 葬儀屋の主な業務内容
葬儀屋での勤務は、式当日の運営だけでなく、前工程から後工程まで幅広い業務をカバーします。以下のようなポイントが日常的に発生します。
- 遺体の搬送・安置
- 病院や自宅から霊安室へ遺体を搬送し、安置やドライアイス補充などを行います。
- コロナ対応など感染対策が求められる場合、納体袋への収容や消毒処理まで担当するケースもあります。
- 安置後は、防腐処置やドライアイス管理を行い、指定日時まで遺体を保管します。
- 納棺・祭壇設営
- 遺族と打ち合わせのうえ、ご遺族の希望に沿った棺飾りや祭壇飾りを準備します。
- 生花や骨壺、思い出の品を飾り付け、故人を美しく送り出せるように演出します。
- 納棺では、遺族とともに最後の花を手向けるサポートを行います。
- 式場の運営・進行
- 通夜や葬儀当日は、司会進行やタイムキーピングを担当し、式次第に沿ってスムーズに進行します。
- 祭壇前での礼拝や焼香、お別れのセレモニーなどをサポートし、参列者が適切に動けるよう案内します。
- マイク操作、映像投影、音楽管理などの手配も葬儀屋の仕事範囲です。
- 接客・アフターケア
- 遺族や参列者からの質問や要望に応じ、式の流れや費用、手続きなどを説明します。
- アフターケアとして、四十九日法要や一周忌などの法要手配サポートを提供することがあります。
- 必要に応じて、役所への死亡届提出代行や保険・年金手続きのアドバイスも行います。
2. 体力面・時間面の負担
葬儀屋の仕事は多岐にわたり、体力と時間管理能力が強く求められます。
- 長時間勤務・早朝深夜対応
- 通常は早朝から夜までの勤務が当たり前ですが、緊急搬送や深夜の訃報対応で24時間対応が発生することもあります。
- 一度式に携わると、セレモニー終了後の後片付けや花材の撤去、事務処理などで深夜にまで及ぶケースがあります。
- 肉体労働の連続
- 遺体搬送はストレッチャーの取り扱いや重い棺の運搬、祭壇用什器の設営など力仕事が多いのが特徴です。
- 夏は冷房の利かない斎場内での作業、冬は冷え切った安置室でのドライアイス管理など、季節問わず厳しい環境を乗り越える必要があります。
筆者からの一言
「葬儀屋の朝は早く、夜は遅い。健康管理や体調維持ができないと、続けるのは難しい仕事です。」
3. 精神面のストレスとメンタルケア
葬儀屋という職業は、人の最期に立ち会う責任の重さが常につきまといます。
- 遺族の悲しみと向き合う難しさ
- 悲嘆に暮れる遺族や親族に寄り添いながらも、冷静に式を進める必要があります。
- 涙をこらえる高齢者や、気持ちを伝えたい遺族の方々を見て、自身の心も揺さぶられることが少なくありません。
- 突発的なトラブルへの対応
- 病院への駆けつけ、式場での機材トラブル、交通渋滞による搬送遅延など、予期せぬ事態が頻発します。
- 葬儀中の小さなミスが遺族の心を深く傷つける可能性もあるため、常に緊張感をもって業務にあたります。
- メンタルケアの重要性
- 定期的に社内ミーティングやカウンセリングを開き、先輩社員や上司と悩みを共有する機会が必要です。
- 心が疲弊すると体調にも影響するため、自身のリフレッシュ方法や適切な休息時間の確保が不可欠です。
筆者からの一言
「ストレスが蓄積すると体調を崩す原因にもなります。悩んだら早めに声をあげ、社内のサポートを活用してください。」
4. チームワークと現場の雰囲気
葬儀は一人で完結できる仕事ではなく、社内外の多くの人が協力して初めて成り立ちます。
- 社内スタッフ間の連携
- 葬儀プランナー、納棺師、搬送スタッフ、生花担当、司会進行スタッフなど、多職種が一つのチームとなって動きます。
- 打ち合わせの段階から連携を密にし、遺族の要望を正確に共有することが大切です。
- 協力葬儀社・業者との連携
- 祭壇製作の業者、読経を担当する僧侶、料理業者、返礼品業者など、複数の外部パートナーと連携して葬儀を作り上げます。
- 急な依頼や変更にも柔軟に対応できるよう、日頃から信頼関係を築くことが求められます。
- 現場の雰囲気作り
- 悲しみに沈むご遺族を少しでも和らげるために、丁寧な言葉遣いと穏やかな態度を心がけます。
- 同僚同士の励まし合いや情報共有が、現場の士気を保つポイントです。
筆者からの一言
「現場はまさにチーム戦。一人ひとりが自分の役割を理解し、助け合うことで、良い式が提供できます。」
5. やりがいとキャリア形成
大変な業務ではありますが、葬儀屋ならではのやりがいとキャリアアップの道も存在します。
- ご遺族からの感謝の言葉
- 「心温まる式をありがとうございました」と感謝される瞬間が、苦労をすべて報われるときです。
- ご遺族が心から安堵する姿を見ると、「この仕事を選んでよかった」と実感できます。
- 多彩なスキルの習得
- コミュニケーション力、企画力、段取り力、接客スキルなど、あらゆるビジネスシーンで応用できる能力が身につきます。
- 僧侶や神職、牧師とのやり取りを通じて、宗教儀礼に関する知識も自然と深まります。
- キャリアのステップアップ
- 葬儀プランナーからマネージャーや支店長、さらに企画部門や教育担当として活躍する道もあります。
- 専門資格(葬祭ディレクター技能検定など)を取得し、専門性を高めることでキャリア形成につながります。
筆者からの一言
「大変だからこそ、達成感はひとしお。経験を積むほど自信がつき、自分の成長を実感できる仕事です。」
まとめ
葬儀屋の勤務は、遺体搬送から式の進行、アフターケアまで多岐にわたり、体力・精神力ともにハードな面があります。
- 病院での納体袋処理や遺体搬送など裏のルールを踏まえた実務
- 長時間・不規則勤務による体調管理の難しさ
- 遺族の悲しみに寄り添い続ける精神的な負荷
- 社内外のチームワークを円滑にするコミュニケーション力
しかし、ご遺族の「ありがとう」という言葉や、自分自身の成長を実感できるスキル習得など、やりがいは計り知れません。
葬儀屋を志す方は、まず葬儀会館での現場見学や先輩ディレクターへのインタビューを通じて、実際の雰囲気を肌で感じてみてください。
自分の適性やライフスタイルと照らし合わせたうえで、「この道を進みたい」と思えるかどうかを判断することをおすすめします。
ご質問がございましたら、コメント欄へどうぞ。
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